Aurea Ovis

きょうは『金羊日』

2009年11月

 

1 リンゴを煮ながら

2 自覚

 

 11月になった。 さすがに 「薄ら寒い日」が増えてきた。

 「薄ら寒い」というのは、寒い というほどではなくて、何かしていれば適度なぬくもりを感じているのだけれど、じっとしていると そのうち 部分的に体のあちこちに冷たさを感じだして、しばらくすると 何か上に羽織るものをさがす・・、そんなようなときのことを 薄ら寒い というのが 自分なりの定義(というほどのものなんかではないけれど・・)になっている。

 さて そんな薄ら寒い日に家に居るときにすることの一つに、リンゴを煮ることなどがある。まぁ 火を使えば その時だけでも ちょっとあったかくなるということもあって、今 先日買ってきた紅玉を煮ている最中だ。

 水で良く洗ったリンゴ2個をそれぞれ四つに分けて芯を取り、一切れを半分にして それをさらにいちょう切りにする。そうやって 全部のリンゴをいちょう切りにしたら、鍋に入れて白ワインをリンゴの半分くらいまで注いで火にかける。

 クローブやシナモンの粉末を適度にふりかけ、蜂蜜を好みの量入れたら、皮の色が果肉に滲んで そのピンクのリンゴがしんなりしてくるまで ことことと煮る。

 ちなみに、通常だと レモンの薄切りなどを一緒に入れて煮るところだろうけれど、当方では ソレをしないで、クエン酸を ごくごく少量、ほんのちょびっと、入れている。

 まぁ、ただそれだけのためにレモンを買っても とか、国産の無農薬レモンは た・・高い・・!し、だからといって お外の国から流れてきたものを使う気にはなれなくて、結局 クエン酸という そんなところにたどり着いているのだけれど、レモンってなにか目的がないと ほんとに買わないから・・ ま それでいいか と言うことで。

 さて、りんごは 好みの柔らかさになったら 火を止めて 鍋に入れたまま冷ます。

 ・・というだけのことなのだが、部屋の中がほんのりとあたたかくなるうえ、リンゴを煮ている間のあの甘酸っぱい香りが、朝からの厚い雲間から たまに差しこむ日差しのおこぼれのようなぬくもりと一緒になって、なるほどこの時季らしい柔らかくてぬくぬくした雰囲気で、全然なんでもないのに ちょっと幸せだったりする。

 しかしこの煮リンゴ、ちょっとあったかくしよう と思って始めただけで、とくに何か作ろう という意図なしにこしらえた結果のため、これから 使い道を考えなくてはならない。
 
 そう、やっぱり パイとかケーキとかジャムとかゼリーとかマフィンとかホットアップルとか・・(うー・・ 考えてただけなのにー、なんか すごくおなかすいた・・) でも、いちいち あれしてこれしては面倒だし・・ そーだ、アイスクリームと一緒に食べよう、ということで、 これから 散歩ついでに買い物に行くことにした。

 9月末の骨折以来、ようやくひと月が経過し、通常だと2ヶ月かかるといわれていたとおり、まだ強く押せばその部分は痛いし、立ち居振る舞いがスムーズにいかなかったり、あれやらこれやらはあるけれど、やはり 時間がたつとそれなりに良くなってくるもので、今は リハビリといいつつ、通常の靴を履いて よほど天気が悪くない限りは 一日一度は散歩に出かけている

 夏、ちいさい丘の上の涼しい実家と、そこからほんの5分で着く酷く暑いバス通りとの温度差を 妙に実感したことがあるのだけれど、この葉山にも そんなことがあるようで、大した高さでもないのに、少し高いところの銀杏は もう 黄色く染まってとてもきれいという噂を聞いている。
  しかしながら、このあたりの銀杏は、水気が失せて薄ベージュになった拗ねたようにちぢこまった葉が ただ はらはらと地面のあちこちにちらばっているくらいで、木全体が見事に黄色くなったものなど、なかなか お目にかかれない。

 生まれてからずっと このあたりで生活している自分としては、「山全体が燃えるような」と言い表される紅葉―秋を 一度 堪能してみたいと ずっと 思っているのだが、桜や春の幸いには 恵まれすぎるほど恵まれていることで 満足せいということなのか、そういう情景には とんと良いタイミングでの縁がないままきてしまっている。

 紅葉情報によると、箱根の紅葉の見ごろは11月中旬からのようで、そろそろ色づき始めているということだが、ごく近場というのなら、鎌倉などだろうか。
 八幡宮の銀杏や源氏山の公園などは 今月末からが期待できるようなことを言っている。

 足に不自由を感じなくなったら、是非是非 あちこちを歩き回りたいと 今から楽しみにしている。そのときは またリンゴを煮て、リンゴ饅頭やリンゴパンにして、温かいお茶と一緒に もって出かけてみようかな などと思っている。

 

2 自覚

 先日、たまさか譜面が読める ということで、使ってもらっているボランティアで オルガンを弾いていたとき。

 ご年配の多い皆さんに声を出してもらう歌が2曲あって、集まりの最初と最後に一曲ずつということだったのだけれど、その間に 歌なしで弾く一曲も 別に選んでおいた。
 時間が来て、最初の曲を弾きおわり、次の曲までには 少し時間があるから と、選んでおいた譜面を その上に広げて置いた。

 ・・粛々と集まりは進行し、間の曲を弾くときがきたので、静かに流して終了。
 そして、最後の歌になり、上になっていた譜面を取り去り、下になっていた曲を弾きだした・・ のだが、もう お気づきの方もおいでかと思うが、そう、その時の最後の歌のつもりだった譜面は、その日 最初に弾いた歌の譜面だった。

 つまり・・、丁寧に 静かにその集まりが終わり、これで〆て というその時に、その日最初に歌った歌の楽譜のままを 弾いてしまっていたのだった。

 ご年配の方の 本当にありがたく良いところは、こういうときに分かる。

 最初の出だしから なんだか ごく最近同じ曲を聴いたナー なんて ぼけて思っていたのだが、前奏が終わるころ、やっと 「あ!曲 間違えてるよ。」と ようやく気付いた次第。

 歌いだす前だったので、すぐやめて「すみません。間違えました。失礼しました。」と いいつつ、最後の曲のページを開き、弾き始めれば、皆さん、何事もなかったように 普通に歌ってくださる。 後でも 一言の文句も おっしゃらない。

 みなさん、本当に素直でいらっしゃる・・ ありがたいと思う。

 後で 世話役の人たちに、ぜーんぜん気付かなくて ごめんなさい なんて 言ったら、その人たちも「平気 平気、多分だれも気にしてないよ。」「あのまま 最初の曲を弾いていたって きっと 最後まで歌っちゃってたと思うよ。」・・などなど、慰め?てもらってしまった。

 しかし、問題は そんなことではなくて・・

 

 事の次第、流れは 先に書いたようなことなのだが、その間の「自分の感じ方」が、今までの自分にはなかった感じ方で・・、それは 自分には ショックな出来事だったのだ。

 大勢の前で、メインではないとは言え 楽器といえば そのオルガンだけで、場所は 広いところだし、つまり 隅々にまで 響き渡るという そういう場所で・・

 皆で 集まって 心を合わせているときに、たかだか 2曲のものを 弾き間違えるなんてことをしたら、これまでの自分だったら 「間違えました、すみません。」と言いつつ、かなり 心臓がどきどきしたはずだし、たぶん 赤くなっていたと思うし、おたおたして 譜面を見つつも つっかえたりしただろうし、あとになって 謝って回るときも、かなり 申し訳ない という気持ちで 頭を下げまくっていただろうのに・・

 今回、まーったく そういうことがなかった・・のだ。

 つまり・・
一回も ほんのちょとも どきどきもしなければ、赤くもならないし、舞い上がって間違えるなんてこともないし、ごく普通に弾いて 普通に終わらせて、お疲れ様でしたー なんて いえてしまって・・、お そーだ 間違えてたんだった、謝っておかねば と気付いて、ようやく 謝り始めていたし、その謝っているときも、恥ずかしいとか 申し訳ないとかとは あまり おもってなくて・・、あっはっは、やっちゃったよー くらいの感じだった・・
 
ことが ショックだったのだ。

 恥ずかしさも感じないし、赤面もしないし、あれ?と 思うだけで、心臓どきどきなんて これっぽっちもしなくて・・、 だから 「あー、ほんっとに 年取ったんだなぁ・・! 全然 平気だよ、自分・・!」 と 気付いたのだ。 うーん しっかり おばさんしてるぞー。

 そして・・ 今日、そのことを 親しい人に話したところ、いいじゃないの、着実に成長してるってことよ、と 慰められて?しまった。

 成長・・?「成長よ、ちゃんと おばさんになってるって 順調な発育みたいなものじゃないの。」 ・・ だそうだ。

 そうか、一人前のおばさんになった ということで、・・これは おいわいすることなの・・・ かも??

 では 今晩は ワインでもあけて、おめでとー なんて いってみましょうか・・。
 (・・なんか ちょっと寂しいというか すこし悲しめな感じ・・が しないでもないが。)

 窓の外では 向いの家の煙突から 風呂を沸かす煙が かすかな風に薄青くたなびいて、木々に囲まれた静かな小里の秋の夕暮れを ことさら 物哀しくしている。

 着実に 人生の下り坂を歩き始めたんだなぁ・・と 自覚した今日だった。

ウサギアニメーション http://roko.lolipop.jp/index.htm

 

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