『幸せになる義務』 のページ

 

7 思いを継いでいく

 

そこに その人がいてくれることで 
誰かの役立ちたいという具体的な行動が実を結ぶ。

だから、ケアされる方は 
役に立ちたい と 思う人の 役に立っている。 

それでいい。

 

 以前、私は 伊藤師に いろいろな面に於いて 助けていただいたことがありました。

 実家で 暮らすことができていたとはいえ、生活するために必要なものを得、そうしながら 子供達のあれこれを見、徐々に忙しく責任が増えていく仕事を抱え、一日が 本当に短いし、一週間では足りない、ひと月では 間に合わない・・などという そんなばたばたした日々を余儀なくされていたことが当たり前の毎日だったころは、何か余分があるなどという状態を 長い間忘れていました。

 時がたち、生活や気持ちにゆとりが出来てきたころ、そうしていただいてきたことを 本当に 申し訳ない、何とかしなければ・・と ようやく 思ったことがありました。気付いた というほうが 正しいですね。
 それまで そんなことに 気付くゆとりもなかったのです。

 あるとき、珍しく 伊藤師と二人きりになったとき、一種の決意表明みたいな気持ちで 言ったことがあります。

 「ずっと していただくばかりだったことを 本当に 申し訳ないと思っています。すぐに は出来ませんが、何かの形で 少しずつでも お礼をさせていただこうと思っています。」

 伊藤師は、びっくりしたような顔をなさって それから 笑われました。

 「貴女から 返してもらおうなんて 思ったことは無いし 思わないよ。」

 そして 続けて言われました。

 「人には 誰かを助けたい とか 役に立ちたい という気持ちがあるでしょ?
これは 誰にでもあるものなんだね。
 そしてね その してあげたい という気持ちを 受け取る人がいないと それは 成立しない。

 そこに その人がいてくれることで 役立ちたいという具体的な行動が 実を結ぶんだから、ケアされるほうというのは 役に立ちたい と 思う人の 役に立っている。 
  それでいい。
 だから 存分に しっかりと受け取らなくちゃ いけないんだよ。

 役立ちたいという思いをしっかり受け取る。そこで 一つ終わる。

  次は その「してもらったこと」を してもらった人が 別の”してほしい人”の
役に立つことで 別の一つの思いに成立させる。

 そうやって 人の中で 思いが継がれていくのが 大事なことなの。

 だから 返そう と 考えなくていい。そんなの必要ない。」

 

 正直に言いますとね、ちょっと ほっとしました・・
とても ありがたかったです、本当に。

 人って 人から何かしてもらうと それが負担になってしまうというのは、たぶん 殆どの方に覚えのあることではないかと思います。

 たとえ それがごく正当なことであったとしても、それでも ある程度のプライドのようなものがあれば、やはり 自分が何かしてもらうという場合、受け取るばかりでは申し訳ない、とか あれこれ考えてしまうのではないかと思います。
 人によっては ソレが高じて ヘタをすると卑屈になったりもしかねません。

 それをいわれた時の 自分の正直な気持ちは、”できたら そうしたいんだけど、ほんとに そうできることは はっきり言って とても難しい”というのが よーくわかっていましたから、なにしろ そんな風に言っていただけたことで、大分 気分的に楽なったというのは、否めません。

 と 同時に、そうか、そうやって返ししていくということも出来るのだ と、気付いた次第です。

 

 しかしながら 自分は どうにも情けない人間なので、それほどにまでしていただいたというのに、ひょっとすると その伊藤師の思いをも忘れてしまって、なにか ちょっとしたことへのシェアも 惜しんだり 躊躇するときがあります。

 きっと だからといって それを責めたり問題になさったりするような伊藤師ではないでしょうけれど、何をどういおうと、確かに 悲しく情けないことではあります。

 伊藤師の「思いを継いでいく」ことを、だからこそ たびたび 思い起こして、意識して 行っていかなくては と 今も しみじみ思っているところです・・。

 

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