6月
お話   わらしべ王子

 むかし ある島に 一人の女の人とその息子が住んでいました。
ある日 女の人は病気になり、自分がもう駄目だと悟ったので、息子を呼んで 言い聞かせました。

 「私は 昔 王様のおきさきだったんですよ。だから おまえは王子なのです。あるとき 王様が海岸でお仕事をなさっておいでの時に、おまえが 沖を走る綺麗な船を見つけてはしゃぎ、それに気付いた人たちが 皆その綺麗な船に見とれたものだから、皆の働く気持ちに水をさした、と おっしゃって「そんな子供は どこか遠くへやってしまえ」との 王様の仰せで、私は泣く泣く お前を連れて この島へやってきたのです。

 城を出るとき 門番が良い人で あまりに気の毒だからと 私達に 3把のわらしべをくれたのですが、それが そのまま 手付かずで 部屋の高い角のところにおいてあります。
 おまえは 私が死んだら そのわらしべでご飯を食べなさい。でも わらは 捨てずにとっておくのですよ。」
  そこまで言うと 女の人はいきたえてしまいました。

 そこで 子供は 言われたとおりにして 七日目になって、わらを手に 住み慣れたところを後にしたのですが 何しろ子供ですし お母さんが わらを捨てるな といったことは聞いても、その後のことを聞いていないので どうしたものか・・と思いながら それでも道をどんどん歩いていきました。

 ある味噌屋で 子供は 店先の味噌を見て それがほしくなったので、店の人に「もしもし、すみませんが このわらと味噌を交感してくれませんか?」と いったのですが、何しろこ汚い子供のこと、それに店は繁盛していて大忙し。とても そんな子供の言うことなど聞こうとしません。

 それでも 子供は店先にしゃがみこみ それから2日の間 じっと 自分の番の来るのを待ちました。味噌屋の人も それには根負けして、「よし、それほど言うならとっかえてやろう。」と やっと わらと味噌を交換してくれました。

 ほうの葉につつんだ味噌を抱えて 子供はまた 歩き出しました。
暫く行くと 鍋・窯を売る見せがあり、その店先に 取っ手の片方取れた鍋が置いてありました。
 子供は とたんにそれがほしくなり、店の人にいいました。
「もしもし、すみませんがこの味噌と鍋を 取り替えてはくれませんか?」

 店の人は こ汚い子供が何を言っている という風で 全く相手にしませんでしたが、子供がその店先に 2日の間 しゃがみこんでまっているのを見ると、やっぱり根負けして それならと 子供のほしがっていた鍋と味噌を取り替えてくれました。

 子供は それからまた歩き始めましたが 今度は 刀屋の店の隅においてあった つばの取れた刀を見て、それがほしくなり、こんども また その刀と鍋を交換してくれるよう粘って、やっとのことで つばのない刀を手に入れました。

 さて 子供は どんどん歩いて とうとう海に出てしまいました。
これまでの疲れが出たのでしょう、子供は 浜辺に寝転んで くうくう眠ってしまいました。

 そのとき 泥棒がやってきて 子供の持っている刀がほしくなり 盗もうと手を伸ばしました。
ところが 刀は 突然 蛇に姿を変え、泥棒が捕まえようとしても にょろにょろと動きまわって ちっともつかまりません。 とうとう 泥棒は 刀を諦めていってしまいました。

 その一部始終を 沖に船を出していた男がずっと見ていて、浜辺に近寄り、眠っている子供に声をかけました。
 「おーい、おまえ、こっちにおいでー。」

 子供は 目を覚まして 男のほうへ刀を持っていきました。すると男は、「どうだい ぼうず、お前の刀を買いたいんだが・・ いくらなら売るね?」
 「お金は要りません。別のものと交換してください。」と 子供はいって 船の中を見回しました。

 船の中にはたくさんの屏風がつんであったので、子供は その中から ぼろぼろになった一枚の屏風を選んで「これと交換してください」といいました。
 男は そんなものでいいのなら・・ と 喜んで 屏風と刀の交換に応じました。

 子供は 屏風をかついで また 歩き始めましたが、暫く行くと とても立派な大きな庭に入り込んでしまっていることに気がつきました。
 その庭には 山があり 森があり、花々が咲いていましたし、川も 海もありました。
その 小高い丘の上の芝生の上で 子供は 屏風を広げてみました。

 屏風には たくさんの鳥の絵が描いてあり、暖かなお日様の日差しに 絵の中のうぐいすが いきなり 屏風から飛び出して 梅の木にとまり「ほぅー ほけきょ」と 鳴き出したかと思うと、それを合図のように  絵の中から たくさんの鳥達が 飛び出し、あたりに飛びかい始めました。

 鶴は海辺に、孔雀は芝生の上に、雁さえもくさび型になって 空を飛んでいきました。
子供の周りは いろいろな鳥達がさえずって とても にぎやかです。それを聞きつけた人たちが 子供の屏風の周りに 集まってきて、その楽しげな歌声に 喜んで聞きほれていましたが、ついには 話を聞きつけた王様までが お出ましになられました。
 その庭は 王様のお庭だったのです。

 「これ、子供。その屏風は お前のものか?」 「はい、さようでございます。」
「お前の屏風をわしにくれないか?お前のほしいものを 何でも取らすぞ。」

 子供は さて なにと交換しようかとおもいましたが、そのとき 子供の肩に うぐいすが停まり
「水、みず・・」と 囁きましたので、子供は「それなら ここを流れる水、海のものも 川のものも  私にください。」といいました。
 王様は そんなものでいいのなら と 水を与えることにしましたが、子供は ついでに王様の書付もほしがったので、王様は それも 一緒に与えることにしました。

 さて、子供は それから 王様の書付を持って、先ず 町へ行き、人々に書付けを見せ、これから川の水を使うたびに 子供に使用料を払うように言いました。町の人たちは びっくりしましたが 何しろ 王様の書付がありますから、仕方なく 払うことにしました。
 それから 子供は 海へ行き、漁師たちにも これこれだからと 海の水を使うたびに 子供にお金を払うように言いました。

 暫くすると 町々の人たちは これでは いくらお金があってもたりやしない・・、と 困り果て 王様に 何とかしてくれるよう 申し上げに行きました。

 すると 王様は なるほど それは大変なことになった と、慌てて子供を呼び 王様の書いた書付を返してくれるよう 言いました。
  すると子供は「お金は要りません。その代わり 私を あなたの子供にして下さい。」と いったのです。

 王様がびっくりしていると 子供は言いました。
「実は 私は ずっと以前に 海岸で綺麗な船を見てはしゃいだことがもとで、お母さんと一緒に 島流しにあった あなたの息子なのです。」
 そして これまでのことを王様に話して聞かせました。

 王様は それを聞いてとても後悔し、こんなに賢い子供が あとをついでくれたら きっと この国は 栄えて良い国になるに違いないと思い、子供を自分の子供と認め、後継ぎに定めました。

 子供は それからは 本当のお父さんの王様の息子として、何不自由なくくらし、人々からわらしべ王子 と呼ばれて 親しまれた ということです。

 

このお話は ご存知でしたか?

 なんと言うか・・ わらしべ長者というのは 知っていましたけどね、ツイこの間 ひっくり返した子供の頃の本に書いてあって、へぇ〜 と 思ったもので 書きました。
 昔読んだ時は それほど感じなかったのでしょうか・・? 記憶が遠くて、こういう話があった事も覚えていないんですね。

 さて この話、一体 どこの国の話だと思われますか?
じつは これ ニッポンの昔話のうちに扱われているんですね―。 はてな・・?という感じです・・。

 では 遠くへやられた というのは島流しなんだな というのは分かりました。が、王様って?
それに「芝生? えええ?よくわかーんなーい。」ですよね。

 多分 結構 新しい時代のものなのではないかと 私は思うのですが、ご存じの方 いらっしゃいましたら 誰の作品なのか 教えてくださると 嬉しいです。、

 とにかく、子供 子供 と書いてあるので 一体どのくらいの年齢なのか と思いますけど、まぁ 最初の頃の物々交換なんて、結構 単純な思いつきのようにも思えるし・・ でも 最後のほうになって 水を書付と一緒に 要求するなんて、とても 小さい子供の考えるようなことではないと 思っちゃいます。ちょっと さかしげな15〜6あたり または その前後かな・・?ともおもうのですが いかがでしょう?

 一般に 人があんまり大事だと思わないもの―そういうものでも価値がある といいたいのか・・、
はてさて なにを目的とした話なのか とも 思うのですけれど、でも まぁ やっぱり もともと下々と上の方たちとは どっかが ちょっとちがうのかなー なんて 変にすねて考えてみたりもしています。

 だって やっぱり 自分だったら 多分 食べ物とか お金に換えると思いますもの。

 あなただったら? どうしますか?

 

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