葉山を通り抜けてくる時見上げた桜並木は、もう ちらほらとピンクの花がほころび始めていた。
太陽の光りを含んだミモザの木は、日を受けて 殊更鮮やかに金色に輝いて 春の誘いにそわそわしている。
明るい空の下、菜の花は風にゆれ、家々の庭には様々な種類のパンジーやチューリップ達が 元気な笑顔を見せて通る人々に呼びかけているようだ。
こちらに向かって吹いてくる風の柔らかな温もりや穏やかに話し掛けるような日差しを浴びれば 訳もなく幸せで・・つい 微笑まずにいられない。
この風は・・しかし、かの地にあっては赤銅の砂塵を伴い、愚鈍にして傲慢な人々の絶望的戦いを 乾いた悲痛な叫びで断罪するとか・・。
一体 この星は どれほどの痛手を受ければ 純粋に 満々と水をたたえた深い愛情に溢れる命の星となりきれるのか・・。
どれほど 幾度も幾度も 虚しい争いを続け そのたびに 苦しみ嘆き 哀しみにあえいできた 単純に正義と平和を求める心達を、踏みにじり 裏切り そして 貶めてきたことか・・。
まだ足りないのか・・ 「まだ たりないのか?!」
言い争い 自分を主張し 激しく相手を罵倒して 一体なにが解決したか 日常を見ても分かりそうなものだ。ましてや
言葉や習慣 生活のすべてのあちこちに いちいち違いを見るような そういう相手と どうやって分かり合うかに時間をかけてかけすぎることはないと思うのに、どこから
もう十分に話し合ったとして これほどいっても聞かぬなら と 手をあげるのは 一体 誰の判断、誰のなにの権限による判断なのだろうか・・。
その正しいとされる根拠は・・??
人間の想像力など ちっぽけなものでしかないが、でも 想像してほしい。
いま すぐそこ、自分のいる近くに 空から いきなり爆発物が落ちてくる。その勢いにあおられ めちゃくちゃに砕け散った周囲の残骸から かろうじて這い出し、やっとの思いで表に出て
目を上げると、それと気付いた武装し武器を持った他国の人間が 自分に銃口を向けて何かいっている。爆音に耳が閉ざされ 聞こえたとしても言葉も分からない見知らぬ男が
悪意と殺意に満ち、興奮と恐怖に顔をゆがめて こっちに向かってくる。
もしも そのとき 自分と一緒に小さなものや弱ったものがいたら・・。
それが かの地では日常。そして 惨めにむごたらしく 武器を持ったものの思うままになってしまうとしたら・・。 狂気は 何を選ぶか・・。
一人では何も出来ない。確かにその通りではある。でも 一人が声をあげなければ それは 誰の耳にも届かない。一人でもかまわない。ずっと
私は 死ぬまで、息のある限り すべてのどんな戦いにも反対し続けていく。
私たちの命は 預けられたもの。 「幸福になりなさい」と贈られたもの。
それを奪い蹂躙する何の権利も 私たちすべての人間は 誰一人 持ち得ない。
なぜそれが分からないのか・・!!なぜ それを認めないのか・・!!
先の大戦で苦しみぬき、やっと悟った平和のはずではなかったのか、日本!
非戦を、反戦を、声高に訴え続ける義務が あったのではないのか、日本!
桜の花が 甘やかな風に時空を越えて舞い散る夢幻の美しさを、誰にも 決して奪われたくはないと ただそれだけのためだけでも、人として、反戦を言い続けていこうと 今 わたしは 怒りと義憤に満ちて 思っている。
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