ひつじ小屋だより  27 

発行日 2003.01.05
発行者 遠藤由美子

 

も く じ   ひつじ小屋の風景  17  (幸いなこと)

        ☆ ひつじの掲示板から・・ ☆ "謹賀新年"

          ケンとメリー 『幸せって・・』

          「エレの引き出し」 ひつじさん登場 A

          お知らせ

          編集後記

つじ小屋の風景  17  (幸いなこと)


 未の年の仕事初めの日は 思いつきで小さな白い紙をちぎって その辺に振りまいたような なんとも頼りなくも簡単な雪もどきのものが、これも気のなさそうな冷たげな風の あちらやこちらへ吹くままにもてあそばれて 意気地なく 空中を漂うような 心底冷え冷えする日となった。

 これほどに寒いというこの日もまた 仕事場の窓から ある一組の夫婦が目の前の角を曲がって 家路に着くのを見た。彼らを目にする時間は一定ではないが、二人はいつも一緒のようで、目にするのは 大概二人が買い物に出て戻ってくる時が多い。二人とも杖をつき ごく小さな歩幅でバランスをとりながら ゆるい坂道をそろそろと下っていく。何時もご主人が 買い物のビニール袋を持ち、ポーチを肩からかけ、ご主人の後を 足元に気をつけながら遅れがちについて行かれる奥様を 時々気遣うように振り返っては 立ち止まって追いつくのを待っておられる。
 ああして不自由そうに見えはするが 毎日夫婦として その日々を互いに負いあえることは ある意味 幸福なことなのだろうと つい思ってしまう。

 そのほかにも いつもの時間にきりっと引き締まった体をウィンドブレーカーに包み 黙々とジョギングに出かける同世代らしきの奥様を見かけたり、またリハビリなのか、でも何時もオシャレなスポーツウェアを着て ゆったりとした歩みでこの前の道を通り過ぎるご老人、ちっちゃな茶色いきれいな子犬を連れて 楽しげに歩かれるご婦人、ママとおそろいのヘアスタイルで自転車の後ろから 可愛い声を張り上げて 楽しげにおしゃべりしている女の子などなど・・、2年以上も同じ所に居ると 目にする人々の日常に あちらは知らずともこちらからは 見守るように関わること出来るという 不思議な時間を頂戴している。

 年が明けようが 時がどれほどたとうが・・、人の暮らしにそれほどの変化の訪れることはなく、ただ当たり前に時を経て ごく自然に あるとき良い人生だったな・・と 思えるのなら、それは なんと有り難くも幸いなことであろうか。
 それでも 一生に一度や二度は とんでもない災難とでもいえるような出来事に見舞われる事も きっと 誰の人生にもあるのだろうとは思うが、その期間がどれほどのものであったとしても ただ 生きていさえすれば、それがとてつもなく大変なことであったとしても、「今」を凌駕するほどの重い経験として その人生を覆い尽くすことは おそらく ごく限られた人たちにしかないことなのではないかと 私は 自分のこれまでを振り返って 思ったりもしているが、それは 私にだけのことであって 果たして そういいきれるものであるのかどうか・・・。

 私自身に関していえば さぁこれからという時に わけのわからない病気で1年半の療養したことに始まって、楽であったり危うかったりしながらも次々と5人の子供を授かり、その子育てに奔走し、すこし自分のことが出来るかな というときに前夫と離婚、就労経験のない30代なかばで 世の中に出て働くということを始めて経験し、2〜3の仕事を経て、現在の仕事に続くかつての薬粧店で13年働くという これまでではあった。

 こう書いてしまえば 実にさらりとしたもののようにおもえるが、若いときの1年半の社会との隔絶はなんとも辛いものだったし、若すぎる結婚による自覚を欠いた子育ては、実に勝手で今思うと後悔と反省ばかりの其れであった。
 また 離婚には10年の歳月を要し、やっと一人身になれたかと思っても 経済的には何の保証もなく無一文という 成長期真っ只中の子供五人抱えて なんとも恐ろしい日々を それでも闇雲に人の善意や好意を頂きながら 生きては来た。
 
 まだ 以前の仕事について アレコレ話せるような心境にはならないが、それも 結構自分にとっては どうにも我慢ならないことや理不尽なことの中にあって
いらだち怒る自分を いかに自分を平らかに保つかを絶えず探るような まるで修行の日々とでもいえそうなことの多いものだった と今はまだ思っている。

 私のこれまでを知っている 語学や文筆に非常に稀有な才能のある友人は、私に「あなたのこれまでは 大変面白い。絶対に本にすべきだ!」とのたもうのだが、こうやって概要を書くだけで ウンザリするほどの重たさを感じる身としては そこまでするほどの根性もなく、あああ、なんとも いそがしい半生だったなー・・と思うだけが精一杯である。

 いま現在決して順風漫歩でも 状況条件下において良好なわけでもないが、それでも 私は半世紀を経て尚 あちこちガタはきてはいるがこうして生きているし、けじめの年に「こう生きていこう」という具体的な生きる指標を見出したこと、そうしようとしている私を理解し、その思いが叶えられるようにやっていこうといってくれる これからを一緒に生きていきたいと思える人との出会いに恵まれたこと、子供達がそれぞれの道へ足を踏み出しつつあること、こうして思いを告げることを許されていることなどなど・・を思うと、今までのあの重苦しさなど すっかり重みを持たないほど 私のこれからにも希望があるというのは なんとありがたいことだろうと この幸いを感謝する未の年初めではあった。

 幸いは独り占めしてはいけないとある方のメールに書きました、勿論この幸せは 皆様にお届けさせていただこうと考えております。  『今年もどうぞ宜しく!!』

                  「猫とくらす日々」今月の主役は”ダリオ”

ひつじの掲示板から・・ 

"謹賀新年"

 2003年になりましたね。 新しい世紀も もう3年目に入ったわけです。
時のたつのは ほんとうに早い。
時間は 砂時計の砂のように 気がつくともうないという・・そんな 失うばかりのもののように思います。乾いた砂を手ですくってみても 指の間からこぼれ落ち 掌に残る物は ゴクわずかであると そう歌にも歌われることがあるように 私達の日常の諸々も 現実に手にするものは ほんのわずかで とりそこない 失ってしまうもののほうが ずっと ずっと多いのかもしれないです

 実際にそうやって手ごたえとして手にするものが少なかったとしても でも 手ですくった 手で受け止めた という事実は 事実として残ります
 それは 言い方を変えれば 経験、体験 そして記憶とでもいいましょうか・・
自分も移り過ぎていく時間の流れの中で出あった 多くの出会いも 似たようなものかもしれません。すべてを抱えることは出来なくても そういうことがあった という記憶は 単なる思い出とはまた違った形で 身のうちに残ります

 だから せめて これから出会うたくさんの出来事や たくさんの人たちを そのとき すべてを理解して受け入れることが出来なくても そのとき その人やそのことに出会ったということを じっと胸に抱いて 静かに出会いの意味を噛み締め 思いを巡らせるのも 息つくまもなく 動かざるを得ない私達の日々には 意義ある行為として 時に行なうべきことなのかもと 遠藤は 年の初めに思ったりしたのであります。

 このひつじの年に 皆様の お健やかであること そして 良い出会いをたくさん重ねて 実りある豊かな人生の一ページになされるよう 心からお祈り申し上げております。

 

ケンとメリー 幸せって・・・

『エレの引き出し』

ひつじさん登場 A

 あああ もう、なんて歩きにくいんだ。まったくこれだから こんなところにしまいこまれるのは嫌なんだな。どれ・・ よいしょっと。あ でも かなりきれいにしてくれたんだな。ここんちのママは ちょっと見ると あんまり細かいこと気にしないようだけど でも結構 せっせといろんなこと やるよな。この間も クリスマスだからって 手のかかるシュト―レンとかいうパンを 何個も焼いていたもんな。落ちてたかけらを食べたけどうん うまかった・・。と そうじゃなくって、僕のこと すきなのは分かるけどサー、何かっていうと よだれでべちゃべちゃにしてくれるエレ坊には 困っちゃうよなー。やっと表に出られたかと思うと あっという間に 口に持っていくんだから。ママが忙しいし、おにいちゃんもウルトラマンと遊んでいるし、パパは夜しか相手してくれないから、寂しいのは分かるけど、でも 気の強いエレ坊だから きっと あんまり我慢していると頭にきちゃうんだろうな・・・。それで 僕のこと ちゅくちゅくしながら くすんくすんしているのは ちょっと 可愛いけどね。でもさー やっぱり べちょべちょは勘弁してほしいよな。 さて 静かになったみたいだし ちょっと おもてをさんぽしよっかな。
 よいしょ! ・・?! あれっ?! え?え? わぁ・・たいへんだぁ!目があっちゃったよ・・・。うわぁぁぁ・・・ どうしよう・・・!! えーっと えーっと、えっとここは何とかごまかさなくちゃ。 ああ 困ったなー どうしたらいいんだ?!

つづく ・・・

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お知らせ

♪ 今回からあまり形式化しないで その時々の様子で書いていこうと思っています。いいたいことは そのときによっていろいろにあるからです。勿論 美しいことを求めての結果であるよう 心がけるつもりではいます。ご意見 ご質問など なにかありましたら いつでも ぜひ お知らせくださいませ。

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編 集 後 記


 Aurea Ovisを無理に日本語化すれば"金羊"とでもいいましょうか・・、七色に輝くオーロラの語源で学名の羊を修飾したもので、この名前にしたのは 私のしようとしていることが 単に上っ面だけの美しさ(きれいなだけで中身がない)を求めるのではなく、羊が自然の厳しい環境にありながら それをかこい育む者達のために、血肉を持ってその命の糧となり、どんなに酷い条件の中にあってもその身を厳寒から守る油分を含んだ体毛を持って人々の体を守り、捨てるところ、無駄なところが一つもないといわれるほど、持てるものすべてを人々にささげることで 大きくて傷がない立派な羊を 富と繁栄の象徴、平和と豊かさの表れとされたことを 自分のしている美にかかわる仕事にも 同じ羊ゆえ似たような思いで働ければ・・と願ったからではありました。ちなみに「美」は「羊が大きい」と書きます。

 この未の年には 何とかして皆様にもっと具体的に もっと分かりやすく現実的にお役に立てていただけるよう 考えていくつもりでおります。 私で事足りることがありましたら 是非 思い出してください。
 羊のようによい働きをもって お力になれる幸いがありますように・・・!

 



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