まだ私が“化粧品"に関わる仕事をし始めて間もない頃のこと、朝早い時間にその方はとても疲れた様子で お見えになりました。
その方は「法事があるので目立たない口紅を一本下さい。」 とおっしゃいました。 私はそのころの 新色のひとつをお見せして「おつけしましょうか?」と声をかけてみました。
その方はすこし考えてから「お願い します。」とおっしゃってイスに腰掛けられました。
ガサガサした肌に触れたとき、「口紅だけだと浮いて見える のでファンデーションをおつけしてもよろしいですか?」と伺いましたら「はい。」というお返事でしたので、 私は手早く化粧水、乳液、下地をつけファンデーションを塗り、眉を整え、おすすめした口紅をおつけしました。
鏡のなかのご自分をごらんになってその方は、「何だか久しぶりにお化粧したみたい、ほんのちょっとのことで 変わるんですね。」と満足そうにおっしゃいました。
3000円のお代をいただきながら私は「思い切って髪を短く されると良いと思いますよ。」とあまり深い考えもなしに言いました。
それから一ケ月たって、そんなことをすっかり忘れていた私の前に、ひとりのお客様が立たれてにっこり して 「その節はありがとうございました。あの口紅とても気に入って使っています。」とおっしゃいます。
見覚えのない方のように思えたのですが、どこかでお相手させていただいた方だろうと思い、曖昧な返事を したのですが、しばらくして「そうか、あのときの口紅の方!」気づきました。
なんという変身振り!
前にいらした時はいかにも疲れたご様子だったのに、さっき私の前に現れた方は 、生き生きと快活でショートカットの似合うすてきな奥様!だったのですから。
このことは私にとって 大きなショックでした。
たかが口紅一本、なのに その口紅はその方の生活を変えてしまったのです。
私はこの時「メイクっておもしろい!」と思いました。
単にその人をきれいにするだけでなく、 その人が生き生きとした日々を送るためのメイクがあるはずだ...と12年前逗子の薬粧店に勤め始めた
ころの私は考えたのです。
以来、少しづつ勉強し、今はその人が生き生きとした社会生活を営むために「どうやって自分を表現すれば 良いか、自分が思っている自分をどうやれば具現化できるか」をテーマに
「メイクアップ」= 「創りあげること」と 考えるようになりました。
このAurea Ovisでのパーソナルメイクアップラボは、そうした考えを基に、メイクアップを
1 自分を受け入れる
2 本当は自分はどうありたいのか、を知り
3 それを表現してみる ことをやってみるための
ラボラトリー(実験室)です。
世間には様々に溢れるほど情報があって、メイクについても得ようと思えばどこからでも情報は入ってきます。 けれど、この何十憶という人々の中で、たった一人のあなたのために、あなた以外の誰が あなたについて深く
考えてくれるのでしょう。
自分の顔やライフスタイルを自分 が責任を持って試し、選び、決めて楽しむ。 そんな考えからのメイクアップもあっても良いと私はは考えています。
最近、メイクアップが精神と関係する ことが言われていますが、私も何人ものお客様のお相手をさせていただきながらどうも “そのメイクをする 理由というのがあるらしい" こと、また、外面の表現を変えると心持ちが変化すること。
その人の思いに叶った メイクはその人に 自信を与え意欲を促す、と いうことを何回も経験しています。
人は 年を重ねれば重ねるほど 自分をどようにも表現できるようになって行くことを 私たちは
知るべきだと思います。
後ろに隠れていた もう一人の自分を見つけましょう。
もしかしたら「私はこんなにきれいでチャーミングだったのかも知れない」のですから。
Aurea Ovisでのパーソナルメイクアップラボでは、きっとあなたに、自分についての
新しい発見があると思います。
一緒に探しましょう。 お手伝いさせてください。
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