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ところが 七日目が過ぎても なんにも起こりません。 「お爺さん こんにちは!」「お爺さん こんにちは!」と言って ふたりの子供が出てきたのです。れはいったい・・?と 驚いているおじいさんに向かって ふたりの子供は言いました。 お爺さんは「やぁ・・!これはこれは・・。なんとありがたいことだ。そうですか、観音様のおいいつけで・・、やぁ、ありがたい、ありがたい!では ありがたく福をいただきましょうか。」といって、子供達の頭を うれしそうになでました。 子供が「お爺さん、どうぞ ひとつお願い事をしてください。」といいますので、お爺さんは それでは と 「私は お酒が好きでしてね、いつかお酒を気のすむまで飲みたいと思っていたんですよ。」と いってみました。 お爺さんがうれしそうにお酒を飲んでいるのを見て 子供達はにっこりして また言いました。「もっと 何かいりませんか?」そこで お爺さんはお酒をのんで 赤くなったほっぺたを緩ませて それでは と 大好きなあんころもちを頼みました。 お爺さんは おいしいお酒と大好きなあんころもちを おなかいっぱい食べて 満腹し、とても 良い気持ちになりましたので、ひょうたんを懐に入れ ふたりの子供の手を引いて 家に向かっていきました。 途中 お爺さんは 何人かの村人達に会って 子供達のことを聞かれるたびに ことの次第を話して聞かせ、その場で お酒やご馳走を出してみんなに振舞ったので、お爺さんのことは 村中の人が知るところとなりました。 翌日からは お爺さんは 村で お祝い事や法事があるたびに呼ばれては、みんなにたくさんのお酒やご馳走を振舞ったので、そのお礼に たくさんのお金をもらうことができるようになりました。 そんなある日、村に馬喰う(ばくろう)とよばれる 馬を扱って お金を儲ける仕事をする男がやってきて、お爺さんのひょうたんと 自分の馬を交換しないか と 話を持ちかけました。 馬喰うは ひょうたんを受け取ると 一目散にお城めがけて突っ走り、お殿様に これこれのひょうたんをお持ちしました、と お目通りを願い出たのです。 一方 お爺さんは 綺麗ですばらしい七頭の馬を手に入れはしたものの、その手入れや世話をこれからするのは いかにも大変だと思い、また コレだけの馬を 畑仕事に使うのも もったいない気がして、考えに考えた挙句、お城のお殿様にさしあげようと思いつき、七頭の馬を引き連れて お城のお殿様に 七頭全部を差し上げたいと 申し上げました。 お爺さんは たくさんのご褒美をいただいて これまでにも増して 裕福になり、元気で 長生きをして ふたりの子供達や村人達と 仲良く暮らしたということです。 このお話は ごぞんじでしたか? でも おそらく 欲深いおじいさんじゃなかったから、自分のためだけに せっかく授かった福を独り占めしないで、みんなで 福を分かち合ったので 幸福になったんですよね。 そうです、幸福は 独り占めしてはいけないものなんです。 それにつけてもおもいますのはですね・・、お爺さんは お爺さんと呼ばれる年まで何一つ良いことがなかった・・という くだり。 身分制度がはっきりしている時代でしょうから、上のランクに行くということは ごくごく稀なことだったでしょうし、そのために地道に働いて 多少の良い目を見るというのではなく、なにか 思いもよらないすごいことが起こって 自分の立場が一変するような そういういわゆる魔法っぽいというか それこそ棚ぼた式の幸運というのを 熱心に祈ったり よくあるのは 何か良いことをしたがために 見返りとして思いがけない幸運に見舞われるというお話が、そういうときだからこそ もてはやされたのではないでしょうかね。 何の話につけても 最近 そんなことばかり思ってしまって なんとなく 素でたのしんでないなぁ と ・・・、私だけかな こんなこと考えるのは・・。 あなたは いかがですか?
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