5月のお話 ねずみの嫁入り
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むかし、ある村に ねずみの庄屋様が住んでいました。 「もちろん、娘にはしあわせになってもらいたい、これから先、いろんな苦労させたくはないし、なにがあっても平気でいられるようであってもらいたい。そのためには この世で一番えらいお方に娘をもらっていただくしかない。」 庄屋様は そう思ったので、それでは と世の中で一番強いお方が 一体どなたなのか、一生懸命考えました。 そして、アレコレ考え抜いた末、なにもかもを高いところからご覧になって、それがなければ、世の中が暗く冷たくなって、食べるものが出来なくなるという、たいそうな力の持ち主であるお日様が、一番えらいお方なのだ と言うことになりました。 そこで、庄屋様は お日様のところへ行って、どうか 娘をもらってやってください と丁寧にお願いしました。 すると、お日様は ニコニコと笑って 言いました。 なるほど!と庄屋様。それでは と 雲さんのところへやってきました。 「雲さん、雲さん。この世で一番えらいお日様さえも翳らせることのできる強いあなたに、どうか娘を嫁にもらっていただきたいのです。」 庄屋様は丁寧にお願いしました。 すると、雲さんは こういいました。 なるほど!と庄屋様。それでは と 風さんのところへやってきました。 「風さん、風さん。この世で一番えらいお日様さえも翳らせてしまう雲さんを、ひと息で吹き飛ばしてしまう強いあなたに、どうか娘を嫁にもらっていただきたいのです。」 すると、風さんは こういいました。 なるほど!と庄屋様。それでは と 壁さんのところへやってきました。 「壁さん、壁さん。この世で一番えらいお日様さえも翳らせてしまう雲さんを、一息で吹き飛ばしてしまう風さんの強い息にも耐えて踏ん張っている強いあなたに、どうか娘を嫁にもらっていただきたいのです。」 すると、壁さんは こういいました。 さて、ねずみの庄屋様は、なぁんだ、世の中で一番えらいのは 私たちねずみなんじゃないか!といって、急いで家に戻ると、村の中で 一番 強くて優しい、働き者の若いねずみの男を撰んで、大事な娘と盛大な祝言を挙げさせた ということです。 さて、このお話を知らない方はないでしょう。 庄屋ねずみのことを、一生懸命でかわいいパパだなー と 私などは思ってしまう。 私たちは、頭の中で考えたり思ったりしたことを、そのまま実行するということが、大人になればなるほど なくなってくると 思いませんか? あれこれ、ことの成り行きやちょっとしたシミュレーションをしてみたりして、その損得やら、その時のやり取りやら 何かをした時のリアクションなどを想像してみて、あ、これはやめとこう なんて思ったりしたら、もう ちょっとした思い付きなんて どっかにふっとんじゃいますよね。それって多分 失敗という危険を回避したいとおもうからなんじゃないでしょうか? 誰だって間違いは犯したくない、失敗はしたくない。それに そうしてしまった時のあのいやな思いや途方に暮れる気持ち、後悔や情けない思いなんか したくないですよね。それは まったくその通りだと思います。 だけど、そうやってこれまできたとしても、でも ちゃんと「私」って生きてますよね。 あんまり悩まず、くるしまず、スマートにかっこよく 迷うことなく決めることを決めてさっさと実行できたら・・・、困ることなんて何にもない、悩むことも後悔することもきっとないでしょう。そうできるものなら そうしたいですよ。 だけど、そう出来てこなくても、「私」って 今 生きていますよね。 じたばたすることも その時は すごくいやで大変だけど、でもじたばたするから分かることって、多分 いっぱいあるんじゃないかと思うんですね。 (その人のための)時間は (その人が)生きている間中”使っていいよ”とあるんです。 だから、じたばたじたばた・・なんにでも 安心して してみようと思います。 あなたは どう 思いますか?
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