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標花　

　−しるべばな−　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 2005年9月初旬

　

朝晩の涼しさに　ようやく　一息つけるようなこのごろだけど・・

でも　まだ　日差しは暑くてね

そう　ただ　風にとろみが出てきたよ

明日には　 手折られるとも 装わず　 野辺の白百合 ただ あるがままに

　

向こうをすかしてごらん ・・？ ほら、あれ・・ ああ、風の道が　できはじめている そう　夏が終わるからね 今年も　あつかったね・・ そうだね　夏が往くね・・

人や猫とは違う道を　風は作って　行き来する

　

ちょっと見ただけではわからないけれど　

きをつけてみてごらん

それこそ　だれにもきづかれないように

ほら　しるしをおいてるよ・・

　

これかしら？

ほら　すっかり　お日様焼けしたヒイラギの

油を塗ったような　厚くぎらぎらしたはっぱ

　

いえいえ　ヒイラギさんじゃ　ないそうよ

北風と南風が　行きかう角には

小さな道祖神が　ずっと　ずっと　昔から・・

それぞれの風も　毎年　やってきて

つれづれ　話していくそうな・・

　

夢か現か・・

まどろみながら咲く花は　いつの間にやら　道しるべ

人や猫さえ気がつかぬ　夏風がおいた　標花

　

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