今日は 全国各地で 氷点下の朝を迎えた とのこと。
そういうときであっても このあたりは、数度くらいにしかならないのだけれど、それでも こんなところに暮らしていると、今日の朝の冷え込みは かなりのものに思われた。
天気予報士は、明日から少しの間、この寒気は緩むといいながら、週末からは 数日間、さらに厳しい寒さになるでしょう ・・と 明るい声で言い放った。
暖房と呼ばれるものの、あの 媚びるような作り物の暖かさが、苦手で、
だから ここでは 人様がおいでにならないときには、よほどのことが無い限り、エアコンなどをつけることは 無い。 せいぜい使って ホットカーペットくらいだ。
こういう暮らしになるには、いろいろいきさつというのがあるのだけれど、自分の住まいなら それが普通でも よそ様に伺えば、そういうことは めったに無く、いや ほとんど無く・・ まったくなく・・、実家などは、季節を間違えたかと思うくらいの暖かさ、いや 暑さで、これでは 枯れ木になりつつある老親たちは ひあがってしまう と おもうのだが、当の本人たち、とくに 父の寒がり方は尋常ではないので、まわりは しかたなく それに付き合って、赤い顔をしている・・。
それはともかく・・
今朝、その寒い屋内から さらに 寒い屋外での洗濯物を干しているときのこと。
このあたり、日陰という 古称があるほど、日の当たるまでの時間が長い上に、そのかげりも早いのだが、最初のころこそ、その 日差しの少なさが不満だったのが、そのうち そういうもの になって、日が出ていようがいまいが 関係なく、時間になったら洗濯物を干すことになっている。
そして 今朝も そのようにしていた。
あたりは まだ 静かで、日中ずっと聞こえている 近場の工事の音も聞こえず、車の行き来も それほど無くて、隣近所も まだ 家の中のようで、狭い庭は 冷たさを加えて さらに しんとしていた。
風もないし、猫の現れる こそとの音も無く、見上げれば ただただ青い、透き通るような空が、雲ひとつも漂わせずに広がり、空気の冷たさの故なのか、鳥の姿も見当たらない。
草のしおれた乾いた土の上に 冷たさを感じながら立って、物干し竿に 洗濯物をかけ広げて・・ おもったのだ。
ああ、平和だなぁ・・
小国日本を取り囲む 大小の国々とのさまざまに生じ始めている軋轢や苛立ち。
ふたを開けてみれば、軽く予想できていた、改めてげんなりする国内政治事情。
あれほどのことを 経験したというのに、まるで何も学ばなかったような、のど元過ぎて 熱さを忘れた 牛歩のごとき震災への救援、対応状況。
自分の回りにしたって、なかなか 麗しい未来を夢見ることなど 到底できそうに無いような、先の見えないことばかりのあれこれに、何かというと ため息ばかりの日々を繰り返したままの現状なのに・・
静まり返った きーんと冷たい中で、ふと 見上げた濃い青い空と、むこうの山の端を まばゆいばかりに金色に染めていく 朝の日の光の上るのを知りながら、
それでも、無事に在るんだ、自分は。 と 思ったのだ。
言い出せば きり無いほどに、だれにだって 日々のあれこれはある し・・
それがわかってもわからなくても、自分なんかに関係なく、喜びや怒り、哀しみや楽しみは 縄のように繰り返し訪れるのが、人生なのだ と 考えてはいるのだが・・
それにしても、今 自分は、こうして 洗濯物を干しているのだ。
これを 幸いなこと ― 平和だなぁ・・・ と おもったのだ。
・・ うまくいえないのだが、なんだか 今朝は、痛いような寒さの中に、一枚 はらりと なにかを脱ぎ置いたような、
そんな 感じが した。
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