B-Note U
B=子供の自然な基調音 & 遠藤が構えずに声を出すときのキー音、 Note=音;記録;書き記す;遠藤がおもいつくまま書き残していくもの・・・ B-Note=”美しいもの”の記録
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2003/8/16
今日一日が とても 長くてながくて あんなに大事にしてくれている人なのに・・
いっそのこと この頭の中から 一切の記憶をなくしてしまいたい 言い訳めくので そして あまりに情けないので
お詫びをします あなたが 帰ってきたときに ちょっと 安心してもらえるよう だから 私がパニックになるたびに
見れば見るほど 柔らかなはずだった 慰めのための花は やさしげな ダブルピンクのトルコ桔梗を選んだのに
まさに こころは 偽れない 言い換えて 馬鹿正直といえなくもないが・・
あなたは これを見て なんと言うでしょう・・?
今から 落ち着かずに
それでも 私は あなたに謝りたいと 思っています ごめんなさい
2003/.8/17
朝 起きぬけの空気は 思わず袖を通したGジャンも それほど 重くは感じなかったのに 一時間ほどの仕事を終えて戻るころには もう 薄日のぬくもりに 軽く汗をかいていた
早くからあいている 小さなお気に入りのパン屋で まだ 焼いて間もないパンをいくつか買い入れ 大きな白い紙袋の口に 香ばしさを求めて鼻先を近づけては その あたたかなおいしいにおいに 早起きをした 三文の得を 喜んでみたりする
ふと かすかに・・ 久方ぶりの日の光が ライトグレーの雲間から 光のしずくのように ひそやかに 霧雨となって 降り注いでくる
撒き散らされる 金色の光くずは 湿り気を含んでもなお清涼な風にゆられる なめらかな紗のカーテンとなって 山の木々の緑や そこここに咲き乱れる花々 寝ぼけて 慌てる鳥たちを そっと やさしく 包み込みつつ なだめている
目を泳がせて 空を くまなく探したが 求めていたものは見当たらず・・・ それでも そんなあれこれに出会えた朝を 思わず知らず 微笑みながら 迎えずにはいられなかった
探し物には出会えなかったが 私の中には 夢の中のように あわやかな 遠い虹が 明るく 見えていた
2003/8/23
どこのきつねのよめいりか あかるく すずしいあめがふる
おひさま まつかぜ せみしぐれ みんながそうでで おみおくり
ひとけのたえた このみちを ぎょうれつのかげが よこぎった
ゆめまぼろしの ごいっこう びびしく りっぱに おこしいれ
ひゅうっとかぜが はせさんじ ぎんしのあめを つれてった
みちのぬれあと けすように まなつのように ひがおちる
どこのきつねのよめいりか あかるく すずしい あめがふる
2003/10/01
10月はじめの朝は この年のこれまでの そして 昨日までの 奢りと慢心と 傲慢と虚栄のかたまりを コレほどにまで抱え持っていても
空は すっきりと 抜けるように青く いくつものあかとんぼを泳がせて 乾いた かろい風がふきすぎていた
なにもかわらない これまでと 10月の一日は なにも かわらない
わたしのなかで コレまでうまく扱ってきたはずの 薄いガラス様の皮膜のある透明な器に たまりにたまった 奢り 高ぶり 慢心 虚栄などの煮詰りが 昨日の夜 いくつかの亀裂が入った と思ったら あっという間にはじけ壊れて 中のヘドロが勢い良く溢れ出し そこ ここに 飛び散り 広がり ・・・
自分が 判らなくなるほど パニックになり 苦しさの自覚もないほどの後悔の念で この体を保っていることも ままならならないほどだった
目がさめて 朝の来ているのを知っても 相変わらずの 自分
10月はじめの朝は コレまでと 何も変わらず 少しだけ さわやかな涼しさを忍ばせて 遠く 高みにまで光の届く青空に 自由に 気ままに 風を飛ばして 遊んでいる
憐れみと 慈しむかのような 面差しで くだらなくも みっともない過ちをあかず繰り返す私を しずかに 見つめおろしているようで・・
こみ上げるものを こらえながら見上げた 揺らぐ空を まぶしさを やわらげるかのように 薄く やさしく 雲が 行く
タッタカター タッタカター カチャカチャカチャカチャ タッタカター トモタコチンは カッタカター 夜中になると カッチャカチャー パソコン相手に カッタカター ひとりでずっと カッチャカチャー カチャカチャカタカタ タッタカター カチャカチャカタカタ タッタカター
タッタカター タッタカター カチャカチャカチャカチャ タッタカター トモタコチンは カッチャカチャー 夜中に一人で カッタカター 何にも お耳に入らない 私のことも 忘れてるー カチャカチャカタカタ タッタカター カチャカチャカタカタ タッタカター
布団の中は あったかい もすこし ぽかぽか ほしいかな 一人でいるから ちょっとだけ
お仕事だから仕方ない それでも やっぱり つまんない もすこし ぽかぽか ほしいのにー
タッタカター タッタカター カチャカチャカチャカチャ タッタカター トモタコチンは カッタカター 夜中になると カッチャカチャー パソコン相手に カッタカター ひとりでずっと カッチャカチャー カチャカチャカタカタ タッタカター カチャカチャカタカタ タッタカター
目をその下に泳がせば 欅にぽっかり穴がある 太い幹から生まれでて 細い小枝が並んでる
月夜の晩にはその枝に 小さなものが 腰掛ける 電車や車を見やりつつ 家路を急ぐ人 ながめ・・
月の光は明るいが 穴の中まで とどかない 小さいものは ふたつみつ 足をぶらぶら 座ってる
やさしい風がそっと吹き 欅の葉っぱが のびをする 一瞬 光に照らされて 小さいものたち 消えていく
目をその下に泳がせば 欅にぽっかり穴がある 並んだ小枝は だれのもの? 小鳥にリスに・・・・・
2003/12/23
2003/12/31
いっぱい失敗した いっぱい 後悔がある いっぱい いやな思いがあって いっぱい 思い出したくもない みっともないことがある
たくさん なさけないことをして たくさん 哀しい思いをして 散々に もうできない という切迫した状態になった
危なっかしかったし もう これ以上は 自分ではどうしようもない なんにも する気が起こらずに
体も望んだようには 動かなくなったり こんなはずはない というほど その変化に どうしていればいいのか
けっして それらが あと2時間ほどで過ぎていくとは 思ってないが でも やっとの思いで ここまでやってきたのだ
いきてきたんだなぁ・・と 思う
よいものとの出会い、よい心とのふれあい やさしい思いと あたたかなぬくもりと 静かな思いやりと 黙っていてくれる心遣い
飾らずにすごせるときにあって やさしてくしてもらったんだなぁ・・と 思う
それらが あと2時間ほどで過ぎていくとは 思ってないが でも そうやって 今日にまで来ることができたのだ
いきてきたんだなぁ・・と 思う
本当に 人は 一人では生きられないのだろう そんなこんなの一年を振り返るだけで そう思えてしまう
なんと 多くの 慈しみの支えがあったことだろう・・
そのひとつ ひとつが すべて 取るに足らない
本当に すべての人に 愛は 存分に注がれているのだ と・・ 充分に こんな私にでさえも 沁み入るように 解せること
だから ありがとう と 感謝して そして 私に行われたように 私も 出会う人ごとに 行っていこうと
それが 私の 2004年への希望 愛することを 惜しまないように 生きていきたいと 今 新しいときを迎えるにあたって 思っている
2004/2/19
日差しは あかるい
用心して冬物コートのまま表に出た自分に降り注ぐ光が 私は 風の的外れな怒りを真っ向から受けて
なんなのよー! 私 かんけいないじゃん! やなやつだなー ・・ ほんっとに
扉を閉めて 風を締め出し ドアの向こうで 鏡の中の私は 恐ろしいやらおかしいやら・・
アー いやんなる まったく 風の日は いやになる・・
手と目を洗い 口をすすいで 髪にブラシを当て それでも そんなやからにも ちょっと同情できるような 気持ちの余裕ができる
そのせいか・・ ふと 目をやった 隣家の庭の ちいさな白梅が 日にますます白く 誰もいないのに 一人で なにやら居たたまれない気持ちになっては −−−−−−−−−−−−−−−−−−
必ず そこを離れなければならない どんなに 思い慕っていても そこを離れなければならない そのことへの 心 絞られる思いが 誰にも理解されない苛立ちとなって 人の世を 上を下への大騒ぎに追いやるような
大陸からの風は すさまじい勢いとなって 季節の変わるを告げるためだけに この小さな極東の国を訪れる
あっという間に駆け抜けて このさきに 陸地のないを知るからこそ・・ 思えば思うほど きっと かなしい・・ きっと はらだたしい・・
誰一人 自分の姿を目に留めようともしない だれも 神代の昔から そして 永遠の先まで・・ 誰一人 だれひとり・・・ 自分を見知るものはないのだ
この哀しみが この寂しさが 風を 苛つかせ 暴れさせるのだ ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
冗談じゃない! 手で触れることもなければ 眼でみることもないくせに よくもいえたもんだ
もしも 手で触れ 目で見ることができたなら もっとも 私の場合は 暴れまくるというよりは そこへお前を縛りつけ 連れ合いが どれほど私の思いを理解せず また 応えようとしないかを
お前が 好き勝手に 自分の愚痴を
だから・・・ さ 行きなよ あんたをしらないわけじゃない・・ 私達だって おんなじさ こんなにひっどい頭にしてくれたんだ わすれるわけ ないじゃないか・・
みんな あんたを知ってるよ みんな あんたとおんなじさ
人だって だれにも 知られることもないことが 誤解と曲解の中で それでも 笑って生きるより
もう 二度と再び 決して会うことはないけれど・・ 何かの時には きておくれよね
真っ正直で 青臭い 子供みたいなあんたのことを ね
気の進まない用事のために 一日働いて疲れて頼りなげになっている日の落ちきるころ
そんな薄暗がりの中を まるで しかられて 泣くなく言い付かったことをしに行くような気分 少し哀しく 少し腹立たしく そして 大分やけっぱちの気分で 坂の上の目的地まで とぼとぼと歩いていく
無事 すべきことをし終えた後は すっかり暗くなった空の わずかに残ったいじけたような明るさに向かって 雨雲の不気味に近づくを まさに 自分への仕打ちを目でるような思いで眺めながら できるだけ早く 戻りたい一心で ひたすら坂道を下っていく
すれ違う車の勢いで 湿った風が自分めがけて吹きつければ ますます哀しく ますます情けなく・・ うら寂しい宵闇の中 うっすら涙も沸いてくる
・・・だれ? そう問うまもなく それが誰だか知っていたその優しい手は ほんのわずか すっと その前を通り過ぎる一瞬を捕らえて 半べそをかいている小さな子供をなだめるように 私の髪を 愛しげになでてくれた
振り返って 見上げれば 先の散々な雨にも打ち勝って この闇の中 誰に見せるでもなく 自信と誇りに満ちて 長の時を様々に耐えて生き抜いてきた桜が その一枝の 私に触れたことを わびるかのように 控えめにたたずんでいる
軽くうなづき ありがと とぶやいて 久しぶりの笑顔を 桜に向ければ・・ ほうっと ため息のようにほころばせるつぼみからは 柔らかな香り 咲き続けた花々のひと群れからは 花あかり
下る道々 連なる桜並木は その桜に倣うてか 香りとあかりで 行く先を導いてくれる
ただいま おかえり あのね さっきね あるいていたら 桜の木がね・・・
たぶん だれも 見ていなかったと おもう・・
なにもかもが まだ 眠たげで 動くことさえ わずらわしげな早朝 ただ 黙って 朝の勤めのために 腰掛けていた自分の目の中で ふと なにかの動きを感じたような気がした
たぶん だれも きがつかなかっただろうと おもう
ほんのわずかな空気の揺らぎのためなのか・・ あるいは 何人かの 人の呼吸が届いたのか・・ (いやいや あれは おそらく そのものが その命の故に かすかな 動作を行ったのだろう)
たぶん だれも 知らないと おもう
大ぶりの美しい イリノイベルの 時をかけて 深みに その色を蓄積してきたような ともすると 下品になりがちな まるで 深く呼吸した後の 伸びのように
ほんのわずかずつ
すこしずつ・・
そして いっぱいに 花びらを広げて
きっと だれも 気が付いていなかったと 思う
たまさか いちばんちかくにいた自分にだけ 知らせてくれたような そんな スペシャルな わくわくするような ちょっとした秘め事のような 日曜の朝が あった・・・
緑濃い木の下には 水入りの空気が 流れている
ほんのちょっと 通り過ぎる その間だけは 一瞬 ひんやり ・・・ 深々と 息をする
しばらく続く木陰を通る 君の背にこぼれる木漏れ日は 底から見上げる 水面に落ちる日の光のよう・・
明るい日差しを受けて 先を行く君は そのきらめきの中 ゆらゆらと 心地よさげに波間を漂う 海中の生き物のよう・・
人が 海から生まれたのにも きっと わけがあるに違いない ・・・ なんて 熱にやられた頭の中では もっともらしいフレーズが 行き来する
光の飛び交う 梅雨の晴れ間の真昼行
緑濃い 木の下には ひんやりとした かつての海の名残水が いまもなお そのきらめきと共に ながれている・・
2004/07/29
なんだか・・ こんなものでいいのかな・・? それ バッグ? なんて聞かれてしまったくらいに小さくて
普段 そばにそういう人がいないから 縫い始めれば 糸の始末やら ゴム通しやらを含めても
これを着た小さな彼女のことを思う むっちりした太い足や華奢で丸い肩
こういうことができることが うれしい こういうことで 彼女の喜びのエッセンスを贈れるのは 幸い ただ かわいくて ただ たのしくて・・ なんのそれ以上のもくろみもない
プレゼントといいながら じつは それは 作っている私への 贈り物にほかならない
こういう シンプルで上質の”時”が持てるのは 何にもまして しあわせなこと と だれもいない一人の時間を幸せに過ごせることに ただ 感謝する自分が うれしい・・
2004/10/15
大型台風に引き続いた秋の長雨が 少々途切れた 秋晴れの今日 今日こそは さっぱり乾くぞと 久しぶりに洗濯物を 外に干す。
窓を開けたまま 風を通し 乾いた空気で 部屋をさぼさせ きらきらの光で 床をみがかせる
向かいの大きな欅の葉は そろそろ端がちぢれはじめ 虫の音に合わせるように 少しずつ 色も変えているような・・
久しぶりの穏やかな秋の午後は まだ目にしていない なじみの山の紅葉や くたびれてだるそうにたゆたう とろんとした海、 暑気を失った日の光を浴びつつ歩く 里の風情など・・ 季節の楽しみを思いめぐらす 静かな午後 カーテンがゆれるたびに 光の子達が 床の上で踊る午後
水気のない季節へさえも 世界は 楽しげに移ろう・・
2004/11/20
11月は 眠り月 ぽっかりと ふと気の抜けたような時がある なにかとなにかの・・ それぞれなんだかはっきりとは分からないけれど
いつもきれいな着物を着て、粋で ちゃきちゃきしていて と。。あれこれ気にしてくれた 置き屋さんの主さん。
「遠藤さんには品がある。」 それが どういうわけかこちらを気に入ってくださって
「あんたさ、これ 好き?」 そして 帰り道 私のいる店の前を通ると 自分じゃあんまり食べないという甘いものを
心配性で、こまめで 気遣いの上手な 優しい奥様のOさんは ちょっと 口の周りにぷつっと小さな吹き出物ができた、 お話は尽きず・・・、とうとう お宅でのお食事にまで 招かれてしまったり。 裕福さを匂わせずに それとなく 人を気遣うことが出来た方・・・
そそっかしくて あわてんぼうで やさしくて きれいなMs.O. いらしてくださると 職場中に 陽気な笑い声が絶えなくて・・ 慣れ親しんだ葉山を離れる時 是非にと お食事に誘われて
単なる 化粧品店のしがない一販売員に訪れてくださったお客様たち。 遠く この海辺の町を離れても尚 思い出される方たち いまは もう すっかりこの世のしがらみから逃れて
私を作って下さった すべての優しい心の方たちを この 11月に 思い出す。。。
11月は 死者の月 思い出を懐かしみ、思い出に励まされ、 ひと呼吸のような 眠り月
西日をさえぎる目の前の小さな丘のてっぺんにある 今日の最後の太陽の光が届く 薄暗くなった谷間の小屋から見えるそれは 磨き上げたガラス窓には一点の曇りもなく それぞれに明暗のあるを 知る
あちこちの家々の窓に明かりのともることなのに それが澄んだガラスを通り抜けてくるのをだまって見ている 世の中を 明るく見たいものだ 明日はカーテンを洗い床を拭き、さっぱりとした日差しを
まるで 丘の上の赤や黄色の木の葉たちのように・・・
2004/12/29
大きな綿雪が ぽてぽて はらはら 降りしきる
じっと眺めていると 時間の逆行を感じる雪の流れ 少しずつ 気がつくたびに 窓の手すりのかさが増す 荒れて久しいこの世の闇を すっぽりとくるむように 天から 静かに無言の白の軍団が舞い降りる
寒さ、冷たさと引き換えの、不自由と引き換えの美しさ それと分け知るこのごろなれば ふと聞えてくる子供達のはしゃぎ声が はるかかなたの昔のことのように思われる
こんなにも美しく こんなにも夢見ごこちになれる雪を 素直に楽しみ、喜ぶことに 後ろめたさを感じることが 年経ることの、生きてきた証にもなるのか・・・
それでも そうであっても 空を埋め、山を覆い、枯れ木宿り、屋根に降り積み、 草花を眠らせ、地に満ち行く 白の軍団。
ひとたびの夢を許すか 厳しさを耐える思いに応えて・・・
2005/01/24
パンを焼く パンを焼く 甘味の香る パンを焼く
あれやれこれやら混ぜまくる
力をこめて 練り込める
こんがりきれいに焼きあげて
一緒に食べれば 尚 おいしい
真冬の午後さえ暖かく そろそろ 魔法の効き始め・・
パンを焼く パンを焼く 甘味の香る パンを焼く
2005/02/19
甘くないコーヒーは だめ でも ミルク入りも だめ インスタントなら 薄くて 甘いコーヒーが 好き チャント入れるのなら 濃いコーヒーを 少しだけ・・ きちんと甘くして
ジャズが 好き 騒々しいものやあまりにそれらしいものは 好きじゃない しっとりと落ち着いて でも 楽しくて一級品のジャズが 好き
明け方から降っていたという雪もすっかり消えて 寒さと冷たさだけが まとわりついている
今日は ひとり 朝から 半日 一人きり・・
明日の仕事の準備のあいまに (一本だけ残ったさつまいもをオーブンに放り込んで 焼きながら) モダンジャズクァルテット/ファイナルライブのCDを かけ 大きなカップに インスタントコーヒーを入れ 気に入りの香りと音色に浸りつつ ゆっくり そっと 飲んでいく
思い出すあれこれ・・・ 思い巡らすさまざまの出来事 思い描く たくさんの夢
香りと音色を粉々に砕く 電話の音に 覚まされるまで・・
ジャズが 好き しっとりと落ち着いて でも 楽しくて一級品のジャズが 好き そして 今は インスタントの 薄くて 甘いコーヒーが 好き
2005/04/30
青いかわら屋根の平屋に住むその老人は 小さな畑を持っている。
長く冷たい季節を経て 時は春・・ こじんまりとしたその畑には ねぎあり キャベツあり さやえんどうあり トウのたった背の高すぎる菜の花あり・・ 間にひと筋 耕されたばかりの土が盛り上がってもいる
周りを数軒の家や幾種類もの木々で囲われたその畑で その一人暮らしの老人は 白いシャツで せっせと動き回っている
黙々と・・ ものも言わずに地に向かい 緑に手をかけ、茎を束ね、実を摘むためにかがむ彼の背近くに 白い蝶が ひらひらと これもせっせと羽を動かしている
一日の盛りを過ぎた暖かな日差しと 緑を帯びた穏やかな光 時折思い出したように吹き過ぎる 少し夏の匂いのする風の中
数羽の小鳥のさえずりと遠くからもれ聞えるようなピアノの音が 白いシャツの老人の 静かな手際の良い仕事を やさしく 背後からそっと 柔らかな布でくるむように 聞えている
一日の仕事を終えるころ 畑の向こうの煙突から 静かに薄水色の煙が立ち昇る
まきをくべて焚く老人の風呂の湯は きっと 春の日差しのように 暖かいことだろう・・・
夏の初日 2005 7 19
ひぐらしの 山に響く夕暮れ時 槇をくべて沸かす風呂の煙も
目の前の畑には 主が一人
よどんだ熱気を 切って払うかのように 暑さに負けたか 力のない油蝉の鳴く声を 乗り越えて |
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