7月のお話  紅玉
(ルビー)

 

7月のお話  紅玉(ルビー)


 昔 一人の若者がおりました。 

若者は、その町一番の宝石商の店で たくさんの宝石を見ていたとき、そのあまりの美しさに ほれぼれと みとれてしまっておりました。
 なかでも ことさら大きく美しく輝く 珍しい紅玉(ルビー)を見たときは つい 人のいるにもかかわらず 大きな感嘆の声をあげたものでしたが、それを聞いた店の主が そんなもの買う余裕もない様子の彼をみて 親切にも そこそこの値段の指輪を彼にやろうと 枯れの指にはめながら 言ってくれました。

 が、その若者は それを迷惑そうに指から抜き取ると、そうではなくて 自分の見とれていたこのすばらしいルビーをくれないか と 云ったのです。

 しかし そのルビーは 若者がなにをどうしたところで どうにも手に入れられないほどの値打ちのものでしたので、店の主は 気の毒に思いながらも それは出来ない相談だと 言いました。

 ところが それを聞くか聞かないかのうちに、突然、若者はルビーをわしづかむと 一目散に 表に駆け出してしまったのです。
  勿論 店の主人は驚いて 大声で怒鳴りながら にぎわう市場の中の人々に 若者を捕まえるよう 叫びまわりました。
 
  すぐに 若者は人々に取り押さえられ 裁判官のところに連れて行かれ 事情を聞かれましたが、勿論 同情の余地など少しもあるわけもなく、即座に 刑の執行を言い渡されました。

 皆は 若者を引きたてて 町外れに来ました。
 そして そろそろ 刑の執行場所になるというとき、ふと あるものが 若者に手をかけました。
  その瞬間 周りの様子が一変し、若者は 自分と自分の手首をつかんでいる老人だけになっているのに 気がついたのです。

 なにがおこったのか 訳のわからない若者に、老人は ここはあの町外れから100時間も離れたところだから 安心するように といい、若者の手の中のルビーについて 話し始めました。

 そのルビーは・・・ある国のお姫様が ひどく意地の悪い魔法使いに魔法をかけられ 大変難しい方法でしか 救い出すことが出来ず、それを行なってくれるものがくるまで ずっと 閉じ込められているのだということ、そのお姫様を救えるのは 勇気ある決断をするものだけであること、そのお姫様には 真夜中 お姫様のことを念じて ルビーに3回キスすると あって話が出来ることを 若者は老人から聞かされたのです。

 若者は それを聞くと、老人への挨拶もそこそこに歩き出し、すぐ近くの町に入って宿をとり、疲れているからと 部屋にこもると 真夜中になるのを待ちました。

 そして 真夜中。
  若者は テーブルにルビーを置いて 一心にお姫様のことを思い ルビーに3度 キスをしました。すると 辺りは 暁のような雲か煙のようなものに包まれ始め、その中を 若者がじっと目を凝らすと 中にうっすらと 人影が現れはじめたのです。

  やがて 煙は薄れ 一人の大変美しいお姫様が 悲しそうな顔をして立っているのが はっきりと分かるようになりました。

 若者は お姫様の前にひざまずき、どうか 自分を役に立てて下さい お姫様が悲しい顔をしなくて済むのなら どんなことでも致します、と 一生懸命 訴えました。
 すると お姫様は 深いため息をついて 目の前の若者に言いました。
「私をここから出してくださるには どんな魔法も どんな戦いも 必要ありません。救える方法はただ一つ。でも それは あまりに簡単で 誰にでも出来ることなのに だれもしようとしないことなのです・・・。」

 そして また お姫様はルビーの中に 閉じ込められてしまいました。

 若者は その日から 一生懸命 なにをしていても お姫様を救い出すことの方法ばかりを考えました。どうしても もう一度 あの美しいお姫様にあって その顔をみ その声を聞くためにも、是が非でも 助け出したい と 心から思い続けていたのです。

 でも どうやっても その方法がわからず とうとう 一年が経ってしまいました。

 あるとき 大きな川のそばで 若者が 暑さをしのぎながら、いつものように 手の中でルビーを見ながら、さて あのお姫様を救い出して もう一度 お目にかかるには どうしたものか・・と 思案していると、隣に 一人の老人がこしをかけ 若者のルビーに目をとめると、大変すばらしいものを持っているが それを譲ってはくれないか と 云いました。
 
  若者が 老人に 「とんでもない。これは 私の持っている 唯一のもの。たとえ王様が 国をやるからといったって 決して渡すものか。」と 云ったので、その老人は 怒って「では 後悔するがいい。この国の王が頼みを拒んだことを・・!!」といい 従者達に 若者を捕らえるよう 言い渡しました。

 若者は それを見て もう どうにもならないことを知り、このまま人の手に渡るよりは・・と 大切なそのルビーを 思い切って 川の中遠くに 投げ捨ててしまいました。
 それを見た王様は たいそう怒って 若者を殺せ と 叫びました。
蹴散らそうにも そうできるわけの無いほどの人数に囲まれた若者は、それを聞くと 自分の探検を抜き、人に殺されるよりは と 自分の胸を突き刺そうとしました。

 そのとき 川の中から 暁のような雲か煙のようなものが立ち上り それが薄れ行くにつれ見えてきたのは まさに あの時から若者が 切に会いたいと 望んでいた あの美しいお姫様だったのです。

 お姫様は 晴れ晴れとした笑顔を見せて 驚いている若者と王様のところに来て、いいました。

  「若者よ 私を助けてだしてくれて 本当に感謝しています。ありがとう。

 誰でもが出来て 誰でもができずにいることを あなたはしてくださいました。あの価値ある美しいルビーを いつまでも自分のものにしておきたいという その慾を捨て また あの紅玉をきっぱりと捨てて初めて、私は あの呪縛から解かれるよう魔法使いが 仕向けてしまったのです。

 どんな人も あの紅玉を見れば たちどころに その魅力に取り付かれ 決して 人に奪われまい、どんなことをしても 失うまいと 懸命になるのです。でも その慾に駆られた思いを断ち切って 初めて あの紅玉がその人のものになるのです。」

 確かに お姫様は あのすばらしく美しい宝石のルビーのような輝きを放ちながら 静かに そして 満足そうに微笑んで そこにおられました。

 そして お姫様は王様に向かって
「お父様、この若者を罰しないで下さい。かれは誰にも出来ないことをして 私を その呪縛から解き放ち 救い出してくれたのですから・・・。」といいました。

  それを聞いた王様は 若者の手をとり 娘の前に連れてくると 娘の手に重ね合わせていいました。
「賢明なる判断をした 勇気ある若者よ、わが娘を娶り、この国を得て 幸せに暮らすがよい。」

 それから 二人はすぐに 結婚式をあげ 年老いた王様と一緒に 幸せに暮らしたということです。

 

 

 

 紅玉は とっても すきで 我が家でも 冬になると 必ず アップルパイに タルトタタン、りんごジャムにコンポート、アップルケーキにアップルマフィンなどなど・・・ いそがしく おいしく 三日とあけずに 頂くのですが、このおはなしは その紅玉とは 勿論 違います。(すみません バカなこと書いて・・・)

 このおはなしには 確か あとがきがあって かつて読んだ記憶に寄れば ”本当に欲しい物は その慾を捨てて初めて 手に入れられるものだ” とか 言うのだったと思います。

 う〜ん・・・ わかるんですけれどねぇ・・・、やはり そうおもわれますか?あなたも。
 私には 本当にそうまでして欲しいもの というものが ないんですよね。
手が届かなきゃ 仕方ないな とおもい、チャンスを逃せば 運がなかったと思い、出来そうで出来ない時など ま そういうときもあるさに なってしまうんですね。

 でも こういうお話しを読んだりすると 慾もそうですが、それよりも あることを ずっと 心に願い思い続けることのほうが どれほど 価値というか 値打ちのあるものなのか・・なんて 思ってしまうんですね。
 それも 慾になるのでしょうかね?

 それとも 人における あらゆる慾を捨ててこそ初めて しあわせになれるのだよ と いっているのでしょうか?

 私の知っている 人間の三大欲求は 食欲 性欲 名誉欲 なんですけれど、そのうちの 一番原始的にして 根源的な欲求というのは 食欲だそうで だから あちこちの宗教では 断食 という行為を行なって 人間の慾と闘い勝つことを目指すのだそうです・・。そうかもしれません・・ だって 生きるための 最低の必要最低条件ですもの。

 名誉欲の中には 所有欲 というのが含まれていて 手に入れ自分のものとすることを喜びとする というのは どんな人にもあると聞いたことがあります。

 人は 目に見えるものから目にすることの出来ないものまで あらゆるものを欲しがります。

  ちょっと 考えれば 世の中は そういうことで満ち溢れ、だから 産業が成り立ち 経済の発展もあるんですね。
 だから 一概にそういうことがすべていけないとは言えないとは思うのですが・・、

 でも 確かに
ものを持つことで だんだんとそれを失うまいとするために なにを基準に生きるか というとき、そうした「持っているもの」が 足かせになっているのは まったく よくわかります。

 一度 なにもかも すっかりなくして 0から やり直すって 
どんな人にも 必要なことなのかも・・・?

あなたは どう 思われますか?

 

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