12月のお話  『天国と地獄のお話』

 

 あるとき ある男が 自分が死んだあと 天国と地獄のどちらに行くのだろう・・ 一体天国と地獄は どんな風に違うのだろう、天国に行くには どうしたらいいのか と ずっと気になっていたのを知って、ある時 天使が男の前に現れていいました。 
  「お前の知りたいことを教えよう。」

 男は、うれしいような こわいような・・で どうしたものかと思いましたが、思い切って 天使の連れて行こうというところへ ついていくことにしました。

 天使は 男を連れて ぐんぐん雲を超えて 飛んでいきましたが、それは とても長い時間だったような また それほど遠いところではないような そんな気もしました。

 気が付くと 天使と男は 『地獄』と書かれた大きな門の前に立っていました。

 天使は 門の扉を開け、「さぁ 中に入ってみるがいい。」といい、男は おっかなびっくり 中にはいっていきました。

 門の中には 大きな建物があり、扉を開くと ちょうど食事の最中でした。
いくつもの長いテーブルがならんでいて、そのそれぞれの両側に 何万という人たちが 今 まさに食事をしているところでしたが、なんだか 様子が変です。

 テーブルには 沢山のご馳走が並び 湯気を立てて とてもおいしそうなのですが、食べ物は 一向減る気配がなく、時間がたつにつれ それは どんどん さめていくようにみえました。

 男は不思議に思って 天使を見ました。 すると天使が「人々をよく見るんだ。」といったので、男は 人々の様子をじっと見てみました。

 皆は ひとりひとり とてもながーいスプーンとフォークを持っていて、目の前に置かれた食事を食べるために 一生懸命になって 何とかして口に運ぼうとするのですが、スプーンやフォークが長すぎて なかなか自分の口にまで 食事が届かず、途中でこぼしては 悪態をつき、目をぎらつかせ、やれ 隣のやつの手が触れたからこぼれた だの、目の前に 他人のフォークの柄が突き出して食べられないだの、文句をいうばかりで、とうとう こずきあいから けんかになり、そのうち 食事の時間が過ぎてしまいました。  

 テーブルの食べ物は その後 人々の見ている間に 悪臭を放ち、腐って どろどろにとけ、そこここに 広がり落ちたかと思うと、食堂全体が 真っ黒な汚い穴になって地面のそこに落ちていきましたので、人々は おなかをすかしたまま 不平や不満を大声でがなりたて、汚い言葉を撒き散らして それぞれの部屋に戻らなくてはならなくなってしまいました。

 男は なんとも みっともなくも 情けない 醜い光景だなぁ・・と思い、哀しくさびしい気持ちで 天使を振り返りました。
 天使と男は そのとき もう一方の大きな門の前に立っていました。門には『天国』と書かれていました。

 天使は 扉を開けて 男を中に招き入れました。

 門の中には 大きな建物があり、やっぱり ちょうど食事の最中でした。
いくつもの長いテーブルがならんでいて、そのそれぞれの両側に 何万という人たちが 今 まさに食事をしているところでしたが、さっきとは違って 楽しそうです。

 テーブルには やっぱり さっきと同じように 沢山のご馳走が並び 湯気を立てて とてもおいしそうですし、人々の持っているスプーンもフォークも やはりさっきと同じように とても 長いのですが、別に けんかをするでもなく それぞれの目の前に並べられた食事は 順調に減って、皆 とても 満足そうです。

 男は不思議に思って 天使を見ました。 すると天使が「人々をよく見るんだ。」といったので、男は 人々の様子をじっと見てみました。

 よく見ると、人々は それぞれのもっている長いスプーンとフォークを使って、テーブルの向こうの食事を取ると、それを そのまま そこに座っている人の口に運んでいたのです。それを 向かい合った者どおしが お互いに 相手の口に食事を運びあっているので、皆 それぞれ 十分に食べ、満腹して とても 幸せな様子なのです。

 様子をみていた男は とても うれしくなり、天使を見ました。

 すると 天使と男は もといた場所に戻ってきていました。
天使は言いました。「どうだね。お前は どちらへ行きたいかね?」
「もちろん 天国のほうです。」そういう男に向かって 天使は うなずいて言いました。「では、天国へいくにはどうしたらいいか 分かったかね?」 

 「はい、自分のことばかり、自分のためばかりに 働くのではなく、人のため、人のことに心を向けて 相手が喜ぶようにすれば 自分も 喜べるようになると思います。

 男がそう答えたとき、天使の姿は見えなくなっていました。

 男は それからは、天国と地獄の様子を皆に話して聞かせながら、毎日 人のために尽くしたので、男が死んだときには あの天使がやってきて、仲良く 天国の食卓を囲んで 食事をした ということです。


 このお話は ご存知でしょうか?

 いやいや 毎度のことながら 遠藤の脚色が多少加えられていますが、もともとは だいぶ以前に 私の恩師が 中学生の私に向かって話してくれたもので、話そのものとしては これほど長いものではありませんでした。

 当時の私は この話を大変興味深く聞き、なんとも恐れ入った気持ちになったものでしたが、たしかに とても 納得できる話でもあったのです。

 まぁ そのときの気持ちを忘れずに それからすごしてここまできていれば、今のようではなく もうちょっと 良い人間でいられていたのかもしれない・・とは 思ってもみてはいるのですが・・、いいわけめきますが 生きていますといろいろありましてね。

 とまれ、人間の最大にして最高の、そして 最後に残る欲求としてあげられる食欲を満たす行為を こういう話にもってくるなんぞ いやー たいしたものだと思います。一番求めることにおいて 先ず他人を満たすことから始める、こういう意識が 私だけではなく 殆どの人間に かけているんだと思います。
 だから 争いが絶えず、憎しみが増し、報復を避けられず、苦しみと嘆き哀しみが後をたたないのだと思います。

 クリスマスの今月、巷にあふれるクリスマスグッズやメロディーを見聞きするたび、そんなことを思って、自分にできる小さなことから 人を先に暖めることを 実行していくようにしたいと 思っています。

良いクリスマスを・・!!

 

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