6月のお話  5人の子供
  イタリアのあるところに とても人のよい男がおりました。
男には 5人の息子達がいましたが、それぞれ もう充分働ける年令になっているにもかかわらず、ひとりもひとり立ちしようとしないので、年を取った彼らの父親は あるとき息子達を呼んで 言いました。

 「お前達は もう立派な男達だ。それなのに いつまでも私のそばにいたのでは 一人前にはなれない。それに 私はもうすっかり年を取って お前達を養うだけのものを手に入れることも難しくなっている。だから、息子達よ、これからめいめい世の中に出て、何か自分にふさわしい仕事を身につけてくるのだ。でも 一年経ったらココに戻っておいで。それ以上長くはいけないよ。」といいました。

 そこで 5人の息子達は それぞれ別れを惜しみながら、別々の道を歩んでいくことにしました。

 そして 一年たって、また 皆が父親の元に集まる日が来ました。
長旅で疲れて帰ってきた息子達に 食べ物を与えながら 父親はたずねました。
「さぁ、息子達、世の中にでてそれぞれ身に付けてきたことを教えておくれ。」

長男はいいました。「私は、どんなものでも誰にも気づかれずに こっそりごっそり持ってくることが出来るようになりました。今では 頭として十分にやっていけています。」
すると父親は言いました。「ああ、お前は自分の手を後ろに回すようなことを覚えてきたのか!まったくしょうのないやつだ。お前にはつむをもたせて、布を織ることを憶えさせればよかったのだ・・」

そして次男が何を身に付けてきたかを聞きました。「私はボートを作ることを憶えてきました。」「ああ それは立派な技だ。お前はそれで生活していくことが出来る。で、お前は?」

「僕は 雄鶏の目を打つことが出来るくらいうまく大弓を引くことが出来るようになりました。」という三番目の息子に 父親は「それも立派な技だ。それでパンを稼げるからな。」といいました。

「僕は、死んだ人を生き返らせる草を見分けることが出来ますよ。」という三番目の息子の言葉を聞いた父親は「それは 素晴らしい!私たちを惨めな暮らしから救って、わしらだけでなく 多くの人々を養うことも出来よう。」と 叫びました。

 そして皆との食事の最中に 表に出て 鳥の声を聞きに行った末の息子は こういいました。「私は、鳥の言葉が分かります。」「それはそれは!で さっきの小鳥達は なんといっていたんだね?」

「鬼が王様の娘をさらって ある岩の島へ連れて行ってしまった、でも お姫様がどうなったのか 誰にも分からない。王様は 誰でも お姫様を見つけて連れてきてくれたら、娘を嫁にやろうというおふれを出した といっていましたよ。」

 それを聞いた 父親と息子達は すぐさま立ち上がり、王様に王女様を救い出しに行くので、もし うまくいったら 必ずお姫様をいただけることを約束して欲しいと願い出ることにしました。

 2番目の息子は すぐに木を切り倒してボートを作り、皆でそれに乗りこんで 王様のところへ向かいました。そして王様が 貧しい父親と5人の息子たちの言い分を聞き、約束してくれたので、さっそく岩の島を目指して出発しました。

 岩の島を通りかかると、ちょうど岩の上で 大きな鬼がお姫様のひざを枕に 眠っているのが見えました。船を見て喜んで立ち上がろうとしたお姫様に 静かにするように合図を送ると、長男は まったく鬼に気づかれることなく お姫様のひざと大きな石をすり替えて、お姫様を救い出しました。

 しかし、まだ ボートがそれほど岸を離れないうちに、鬼がお姫様がいないことに気づき、黒い雲になって空を飛び、ボートに近づいてきたので、三番目の息子が大弓を引いて、鬼の目を射って 海に落としてしまいました。

 皆がほっとして お姫様を振り返ると、お姫様の心臓は 鬼が追いかけてきたことの恐ろしさのために ぴたりと止まってしまっていました。

 息子たちの父親は それをみて、髭をかきむしりながら、もうなにもかもおしまいだ、すっかりすべての望みが消えてしまった、不幸に生まれたものは絶望して死ぬという言葉の通りだ、などと 散々に泣き言をわめき並べ立てましたので、4番目の息子は いらいらして言いました。

「いい加減にしてください!私が何を学んできたのかわすれたのですか!」

 そして うるさく泣き喚いていた父親と死んでしまったお姫様と5人の息子達は、舟を走らせて国に戻って上陸しました。
 4番目の息子は 急いで草のあるところへ行って、目指す草を見つけると急いで戻ってきて、お姫様の口に その絞り汁をたらしました。すると たちまちお姫様は生き返り、みんなは 大喜びで 王様のところへお姫様を連れて行きました。

 さて、約束を果たす段になって、王様は 言いました。
「本当に よくやってくれた。だから 褒美に娘を嫁にやろうと思うが・・、しかし、わしはだれに これをやったらよいのか・・?これは 人数分に分けられる菓子ではないのだ。一人にやったら ほかのものは 指をくわえてみていなくてはならないんだよ。」

 そこで 皆は それぞれ 自分たちのしたことを王様に話し、それを聞いた王様が このものが良い と決めたことに従います、といいました。 

 めいめいが自分のしたことを話し終えたあと、王様は 父親のほうに向かって訪ねました。「で、お前さんは いったいなにをしたんだね?」

 「いろんなことをしました。子供達を世の中に出して、それぞれ 今知っているような業を身につけさせました。あのままだったら 皆 ただの入れ物に過ぎなかったのに、今は こんなに立派なものを持っています。」

 王様は 今回のこと、5人の息子たちのしたこと、そして今聞いたことなどを散々に考えて、一番良いと思われる決定を下しました。
 それは、それぞれ皆 すばらしく よく働いてくれたからこそ お姫様が助かったのだけれど、彼ら5人の息子達をそれほどまでにした そもそもの大もとである父親が 一番の功労者である というものでした。

 そして、お姫様は 父親に与えられることになり・・、5人の息子達には 沢山のお金が渡されました。

 年取った父親は大喜びで まるで15歳に戻ったかのように若返った ということです。


 このイタリアのお話は・・ ごぞんじでしょうか? 

この。。最後の落ちが なんともいえませんね〜・・・「ええっ!?いいの〜?」ですね。

でも ま よいのでしょう。このお話の最後には 教訓というものが書いてありまして、
「ふたりの争いは 第三者をもうけさせる」というものなんですが、やー、確かに。

 いろいろ 考えたりはしたのですが、いやいやあまり下世話なもんですから、それはさておき、それぞれの子供たちの覚えてきたものというのが、いいですね。
もちろん 話を完成させるために あとからこういうことが出来るといいな式で 作られたかも知れなそうな技ばかりですが、ことの良し悪しはともかく、それぞれが その役割を果たすというか、できることを出来る時にした というのが、なんか いいんですよね。

 あれもこれもできなくていい、ひとつ チャントできるようになって、それを役に立たせる時に使えれば、それでいい というような気持ちになってしまいます。

 しかし・・、私の5人の子供達は、私に 王子様を連れては こないですねぇ・・
というより、そもそも みんなそろって 一つの事をする というのが、もう これから先 あるとしたら たぶん 私の葬式くらいじゃないかと・・・。

 やれやれ・・ 夢のない話だこと・・!


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