8月のお話 罰は必ず下る
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昔 あるところに 一人の男が小さな男の子と女の子と一緒に 暮らしていました
。 男は 二人の子供をとてもとてもかわいがっていましたが、女房はずいぶん前に死んでしまっていましたので、あるとき子供たちのためにも と 奥さんをもらうことにしました。 やってきた奥さんは 二人の子供たちのことがとにかく気に入らなくて、夫に「私は あんたの女房になりに来たんで、子供たちの世話係をするために来たんじゃないんだよ。さぁ 私と子供たちとどっちが大事なのか はっきりさせておくれよ。」と 言いました。 父親である男は、次の日の朝早く、食べ物の入った袋をもち、小さな二人を連れて 森の中に入って行きました。そして あるところまでくると、子供たちに「ここにいるんだよ、食べ物は 毎日 お父さんが持ってくるから、二人で仲良く遊んだりして元気でいるんだよ。」といい、自分の家からの道筋にまいた灰を指して、「もし、どうしてもこまったら これをたどって戻っておいで。家に近づくことができるよ。」と いいました。 子供たちは 一日 二人で仲良く遊びましたが、暗くなると怖くなってお父さんが恋しくなりましたので、月の明かりを頼りに、灰をたどって家まで戻ってきました。 ところが それに気づいた奥さんは ものすごく怒って、すぐに子供たちをどこかへやらなければ、自分が出て行ってやる、と男に行ったので、男は 仕方無しに、前よりも たくさんのものを入れた袋を持って、子供たちの手を引き、今度は もっと森の深いところへまで 二人を連れて行きました。 「二人とも、ここにいておくれ。食べ物がなくなったころ また持ってくるよ。でもその前に何かあったら、わしがぬかをまいておいたから、それをたどってもどってくるといい。元気でいておくれよ。」 でも 小さい子供たちですから・・、いくら二人でいるといったところで、暗い森の中では とても怖いしさびしいし・・、食べるものを食べてしまうと二人は やっぱり家に戻ろうと思って ぬかをたどろうとしました。 そのころ、森に一人の王様が狩りにやってきて、犬を放って獲物を追っていました。 その海岸には、何人かの船乗りたちが船を下りて、木を切っていたのですが、不意に現れた泣いている小さな女の子を見つけて、かわいそうに思い、その船の船長が 自分の女房に世話させようと 船に乗せて連れて行きました。船長の奥さんは、ちょうどそのころ同じくらいの年の子供を亡くしていたので、すぐに自分の子供として引き取り、喜んで 一生懸命心を込めて 女の子の世話をしました。 一方 木のうろにかくれた上の男の子は、犬に周りを囲まれ 散々に吠え立てられて がたがた震えているばかりでしたが、犬のほえ方を不思議に思った王様が 中をのぞくと 小さな男の子が震えてしゃがみこんでいましたので、犬たちをどけ、子供を抱き上げて いろいろたずねました。 でも 怖かったことや心配なことが次々に重なって、また あまりに小さかったので 親の名前もわすれてしまうほどおびえていましたので、王様は家来に言いつけて 子供をお城につれて帰ることにしました。 王様は この子供をことのほかかわいがり、大切に育てて いろいろな勉強をさせた上、とくに給仕の作法を教え込みましたので、数年のうちには 男の子は どれほどたくさんのお皿がならんでいても、すべてのお皿に 同じだけの量をきっちりと分けられるほどの腕前になりました。 そのころ、下の女の子をつれて帰った船長が、このあたりいったいで 相当暴れている海賊の一団でしたので、天のお裁きは、その海賊と手下どもを 海で嵐にあわせて 懲らしめてしまいました。 でも あの小さな女の子だけは、水中に落ちたときに船のすぐ近くにいた大きな魔法使いの魚の口の中に入り込み、魚の中の びっくりするような 美しい世界で、まるでお姫様のような大事な扱いを受けて 幸せに暮らすようになりました。 ある日、その魚が お城の近くの海にある大岩の近くへおよいでいったのですが、その日は 煮えくり返るほどの暑い日で、お城の王様は あまりの暑さに 海にむかって開かれたバルコンのところへ涼みにやってきていました。 ちょうどそのとき、お城の給仕をしていた引き取られた男の子は、別のバルコンに出て、料理を作るためのナイフを研ぎ始めたのですが、それを 大岩近くで休んでいた魚のおなかで幸せに暮らしていた女の子が見つけ、自分の兄さんだとすぐにわかって、歌に乗せて 兄さんに呼びかけました。 兄さん にいさん、料理のためのナイフは 上手に研げました、 それを聞いた王様は びっくりして、すぐに家来たちに命じて 魚を捕らえて中にいるものを出すように言いつけました。家来たちが大岩の魚に近づきますと、魚は 大きく口を開いて、女の子を吐き出しました。 王様は 女の子に 誰を見て歌を歌ったのかを訪ね、女の子が 給仕の男の子だといいますと、二人を会わせました。男のこの方は うろ覚えの様子でしたが、女の子が王様に 小さいときに 母親に憎まれて 森に置き去りにされたことや、犬のほえ声に驚いて 二人が離れ離れになったこと、その後の苦労などを話しますと、男の子も いろんなことが思い出されて 二人は 泣きながら再び出会えたことを 抱き合って喜びました。 しかし、ことは 二人が あまりに小さいときのことだったので、彼らは自分たちの父親の名前も住んでいたところもおもいだせずにいたため、王様は国中におふれをだして、森で二人の子供をなくしたものは 申し出るように と 報せました。 すると 子供たちは もう ずっと前に 森で狼に食われでもして死んでしまったのだろうと思い込んで、いつも悲しんでいた父親は、そのおふれをみて 飛び上がって喜び、いそいでお城へ駆けつけました。 ところが 王様は、大事な宝でもあるちいさな子供たちを、自分の幸せのためにつらい目にあわせるなど、言語道断、あってはならない大馬鹿の仕業だと ひどくお怒りになって、しかりつけました。 王様は、父親の奥さんをよび、二人の子供たちを見せてから たずねました。 王様は 「お前は、自分で判決を下した。さぁ 望むとおりにしてやろう。この子供たちの受けたつらさや苦しみを 思い知るがいい。」 その後 王様は 家来の中から 誠実でお金持ちの貴族を見つけ出して女の子の夫とし、また 給仕の男の子にも 別の貴族の娘を娶らせ、父親と一緒に 何不自由なく暮らせるようにしてやりました。 さて、今も山から転がり落ちているという あのたるの中からは、奥さんの声がこう叫び続けています。 さて、、 このお話は あまりご存じない方のほうが多いかもしれませんね。 これは イタリアの古い民話(というのでしょうか・・)になるのだと思います。 人は 弱いものだな・・と こうした話しに出会うたびに 思います。 実の話し、こうしたものを選んで書くというのは まったく不本意ではあります。 ほかに何も思いつかなかった、というのもありますが、どうして こんな腹の立つものを さらに腹の立つような暑いときに書いたものだか・・。 もし そうであるのなら、、親に殴られけられして あるいは 言葉の暴力や食事を与えられずに、泣きながら苦しんでいる子供たちを どうして 苦しんだままで死なせちまうのか!と やけっぱちな思いになってしまう遠藤の ささやかながらのその天への抗議と 思ってください。 しかし・・、そんな大事なこと、本とは 身近にいる人間たちが 気づくはずだし、体を張って助けるべきであって・・、人(天?)任せになんかするから 子供たちがいつまでたっても苦しむんだと、・・こうも 思ってください。 もし、身近でそういうことがあるなら、なんとしてでも 割って入っていかなくては・・と思います。 あなたは どうおもいますか・・? |