10月のお話  北風太陽
  冬の寒い日が続くころ、世の中には からからに渇いた冷たい風が吹きすさび、たまに 弱々しげな太陽の光が、一息つかずにいられない地上のために 風の間に間に ちょっとだけぬくもりを投げかけるような・・、そんな  ある日。

 びゅうびゅう暴れまわって やたら元気な北風と 夏の間 目いっぱい働いて 少々眠たげなお日様が、じつは どっちが強いのか について 話しあうことがありました。

 北風は ものすごい勢いで 冷たい 凍るような息を あらゆるものに吹きかけてかっちんかちんにしたり、その痛いようなすさまじい勢いで あたりのものを とんでもないところへ吹き飛ばしたり、何もかもを冷たく深く眠らせたり、ひょっとすると 生きているものの命も奪ってしまうことができたので、北風は 自分の強さに だいぶ自信があったのです。

 お日様は、考えました。
 私は いくら一生懸命 地上のものを照らしたとしても、何かがそのために勢いよく吹き飛んだり、あるいは溶かすことはできても かっちんかちんに凍らせえたり、とんでもない遠くへ 何かを飛ばすなんてことはできないな。
 暑さで 山火事を起こしたり ものをからからにしてしまうことはできるけれど、どうなんだろう? 今は とくに 北風さんのほうが つよいのかなぁ・・、

 ところで、そうやって 北風さんとお日様が あれやれこれやれと話し合っているちょうどそのとき、ひとりの旅人が 冷たい道を だいぶつらい思いをしながら やってきました。

 「そうだ! いいことがある。」北風さんは言いました。
「 ひとつ ためしに こういうことをやってみようじゃありませんか。
 あそこを通る旅人、あの男の着ている外套を 私が吹き飛ばしてやりましょう。
お日様には なかなか できないことでしょうから、私にそれができたら わたしがおひさまよりも強いってことになりますね?」

 そして 北風は その冷たい氷のような息を 鋭く 強く ひとりで広い枯れ果てた草原を歩いている旅人に向かって いきなり吹きつけ始めました。

 「やあ! どうしたことだ!いきなり 風が強くなってきたぞ。いやはや これでは 先へ進めないし、どうにも寒くて仕方ない。」

 旅人はそういいながら、一生懸命 帽子を手で押さえ、外套の前をかき合わせました。

「それ!もうひと吹き!」 北風は むきになって なおも吹き付けます。

 しかし、北風が その冷たい息を吹き付ければ吹きつけるほど、旅人は なおも しっかりと帽子を深くかり、また それが飛ばされないように 首巻でくくりつけたり、外套の襟を立て、体を丸めて できるだけ風を受けないように工夫するなどして、風が吹くたびに もっともっと必死になって 外套を体から離さないようにしようとします。

 北風は これでもか と 散々に強い息を吹きつける、旅人は ぎゅうっと外套を体に押さえつける。。こんなことの繰り返しで 一向 外套は吹き飛ばされそうにありません。

 しばらくして、もうこれ以上は続かない というほど、息を吹き続けた北風は、真っ赤な顔をしていいました。
「もうだめだ!これ以上は ふきつづけられない!やぁ なんて 頑固な旅人なんだ!」

 それまでの様子を じっと見ていたお日様は
「では 私の番だね。さぁて どうなるかな・・?」 
といって 風の途絶えた広い草原に へとへとになってたたずんでいる旅人に向かって、暖かな光を さんさんと注ぎ始めました。

 「あれ?風がやんだと思ったら、どうだろう?このあたたかさは・・!
まるで 春が来たみたいだ。やぁ これは ありがたい!さぁ いまのうちに できるだけ先まで歩いていこう。」

 旅人は そういいながら、帽子を押さえていた首巻を取り、それを手にもって 元気よく歩き出しました。

 お日様は ニコニコしながら 旅人の上に なおも 暖かな光を投げかけます。

 しばらくいくと 旅人は あまりの暖かさに うれしくなって口笛を吹き、足取りも軽く すこしずつ速さを増して 歩くようになりました。

 北風は すこし心配なきもちで それを見ていましたが、お日様は そうか そんなにうれしのなら もう少し、と それまでよりも もっと 明るい日差しで 旅人を照らしました。

 「いやぁ!これは ほんとに ありがたい。しかし なんという今日の天気だろう。
いやいや とにかく 暑いほどになってきたからには、上着を脱いで歩かなくては きているものが 汗でびしょびしょになってしまう。 」

 ついに 旅人は、その外套を脱ぎ、シャツの前を開き、袖とズボンのすそを捲り上げて 陽気な歌を歌いながら 元気な小走りで 向こうへいってしまいました。

 「さぁ、北風さん。どうですかね?あなたが あんなに懸命になって 強くて鋭い息を吹きつけても 一向 外套を手放さなかった旅人が、私が にこにこして沢山の光を投げかけただけで、外套どころか シャツの前をあけたり 袖をまくったりして、すっかり元気になって 旅を続けるようになってしまいましたよ。」

 すっかりしょげ返った北風は 情けない顔をして 何も言うことができずに、ちいさくなって すごすごと 北の空へ帰っていったということです。

 


 このお話は もう どなたもご存知のことと思います。

イソップという名の人は、紀元前6世紀頃、ギリシアに実在した人物だということですが どうやら その地位は奴隷という位置にあったようです。

 しかし それ以外のことは まったく事実を伝えるものはないそうで、ただ、その当時、歌や踊りなどと同じように 話がうまい者といのは重宝がられたようで、イソップも そのうちのひとりだったらしいようなことは 聞いています。

 イソップ寓話集 と編集されているように、童話というよりは 寓話、つまり いましめや教訓などを教えたり伝えたりするために考え出され、しばしば 動物などのたとえをもって、時に理解するには意味不明ないし不可解な話を、人がよりよく生きるために と ひろく伝えるために編まれたもののようではあります。

 しかしながら、これがイソップ自身の作ったお話です と確信を持っていえるものは、実は ひとつも存在しないとかで、当時 かなりの話し上手で その話を聞きたがるひとの多かった話し手として イソップという人がいて、その名前の下に沢山の話が編纂されたのではないか という推察が、現在では かなり確定的な説のようです。

 今回の 北風とお日様 も、厳しく強く激しい勢いで 人に何かをさせることを強いるよりも、穏やかにやさしく、暖かな思いをもって話しながら、そうするように仕向けることのほうが、ずっと 効果的にして 賢明な方法なんだぞ ということを 言うものですね。

 確かに!
子育てにしろ 部下にしろ、怖がられる親や上司では やっぱり そのうち 相手にされなくなるのは、理解できることではあります。

 あ、でも 私は 子供には うるさかったですけど、下の人たちには 年に一回か二回しか 怒るようなことはなかったですよ。(これはほんと。) ただ 私は やっぱり 上に立つような材ではなかったようで、そういう状況に疲れる疲れる・・、で 一人でやることになった というわけです。

 ま 自分のことはともかく、そんなに昔から 怒鳴ってがんがん言って 何かをさせようとするより、思いを込めて話し、それをおこないやすい状況を作ってやれば 人は 自ら動くのだ と・・、言われているのにもかかわらず・・、

  いまだ 人の神経を逆立て 恨みを買い、それは人に言う言葉か と言うような物言いで 人を 思うがままにしようとする、頭の悪い 心根の腐った くだらない人間たちが、社会や人、子供たちを 踏みにじりながら、音頭をとっているこの現代は、この先 光を見ることもなく 冷たい北の平原のように、日本だけでなく おごれるものどもが舵取りをする国々すべてが凍れる平原となっていくのでしょうね〜。

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