12月のお話  星の金貨

  
  むかし、あるところに 女の子がいました。
 まだ 一人で暮らすことが出来ないうちに、あいついで お父さんとお母さんをなくし、どこにも身寄りがないため、パン一切れをあてがわれて、借りていた家を追い出され、とにかく 森を越えてみようと 野原に向かいました。

 (お父さんがいっていたっけ。神様だけを頼りにしなさいって。)
そして 女の子は 神様に祈りながら 野原をとぼとぼ歩いていきました。

 しばらくすると、向こうから 男の人がやってきて、すれ違うときに 女の子の手のパンをみて かすれた声で とぎれとぎれに言いました。

 「どうか お願いだ。そのパンを分けてくれないか。この何日かずっと 何も食べていないんで、苦しくて辛くてたまらないんだ。」

 女の子は、手のパンをじっと見ました。自分だって このパンがなくなったらこの男の人と同じようになるのは 分かっていました。でも 男の人は 力尽きてしゃがみこみ、本当に 気の毒なくらいの苦しい息で 震えながらようやくそういったのです。

 「おじさん、どうぞ。食べてください。すこしでも 助けになるように。」

 男の人は、お礼を言うまもなく 女の子のパンを受け取ると 口に押し込むようにして食べ始めました。

 女の子は そっと小さな声で「神様のお恵みがありますように・・。」と言って、先へ向かいました。

 森が見えてきました。女の子は おなかがすいたなぁ・・と 思いながら 歩いていました。

 すると 小さな男の子が 泣きながらそばにやってきて言いました。
 「僕、今朝、髪を刈られて、頭が寒くて痛くてたまらないんだ。お願いだから 君のその帽子を僕にくれないかな。」

 女の子は 自分の帽子に手をやって 思いました。
(私も帽子が無かったら この冷たい風で 頭が痛くなってしまうわ。)

 でも この小さい男の子は、震えながら 頭を抱えて泣いているのです。女の子は お父さんの言った言葉を口の中でつぶやきながら、帽子を脱ぎ、男の子の頭にかぶせてやりました。

 男の子は、暖かさに喜んで ニコニコして喜んでいます。その様子を見ながら  女の子は そっと小さな声で「神様のお恵みがありますように・・。」と言って、先へ向かいました。

 森に入るとすぐに、小さな女の子が 震える体を自分で抱きしめるようにして やってきて言いました。

 「私、上着がなくて 寒くてたまらないの。あなたの上着を もらえたら嬉しいんだけど・・。」

 女の子は 思わず 上着の前をかき合わせましたが、でも 目の前の寒さに震える小さな子が これ以上 震えないでよいように、と思ったとたん、上着を脱いでいました。

 「これ あげるわ。すこしでも 寒くないように。」
小さな女の子は とても喜んで 上着に袖を通すと、その暖かさに喜んで 走っていってしまいました。

  女の子は そっと小さな声で「神様のお恵みがありますように・・。」と 遠ざかる 小さな女の子の背を見ながら つぶやくと、先へ向かいました。

 それから まもなく、また 一人の女の子がやってきて、今度は スカートをほしがりました。 見れば その子のスカートは あちこち破けて とてもスカートとはいえないようだったので、気の毒に思った女の子は、とうとう スカートを脱いで、その子にあげてしまいました。

 女の子は、おなかをすかせ、帽子のない頭の髪の毛を 風に吹かれたまま、上着もスカートもなく、とても 寒いな・・と 思いながら、スカートをはいた女の子が 喜んで森の外へ向かうのを 黙ってみていました。

 女の子は そっと小さな声で「神様のお恵みがありますように・・。」と その子の後姿に言って、なおも 先へと向かいました。

 あたりは 日が落ち、暗さが増すのにつれて、森の中は 冷たさを増してきていました。

 女の子は 震えながら どこか 休めるところはないかと 探しながら 歩いていましたが、気が付くと まるで 裸のような 小さな子供がやってきて言いました。

 「あなたの着ている物を もらえない?あんまり寒くて 動けなくなりそうなの。」

 確かに こんな小さな子が こんな寒い夜を 裸に近いような格好でいては、病気になってしまう。そう思った女の子は これをなくしたら 自分が裸になってしまうことも 考えるまもなく、お父さんに言われたように、きっと 神様が良くしてくださる とおもいながら、その小さな子に 下着を着せてやりました。

 女の子は そっと小さな声で「神様のお恵みがありますように・・。」と そのちいさな子が喜んで 森を抜けていくのを見ながら その後姿にそういうと、疲れた足取りで とぼとぼと 先へと向かおうとしました。

 あたりは 真っ暗です。暗いから 裸だって かまわないと思いましたが、それにしても もう 何も持っていない女の子は、これから どうしようかと、ただ ぼうっと立ち尽くしていました。

 ふと 上を見上げると 冬のさえた空には たくさんの星が輝いています。

 「きれいだわ・・。おとうさんやおかあさんとも 時々 夜 お星様を見ていたことがあったっけ。お父さんの言われたように、神様だけを頼みにして、困った人に 出来るだけのことをしてきたけれど、もう 何もあげるものなどないわ。そして 私は 裸で こんなところに立っている。」

 そう思ったとたん、寒さや何一つ持っているものが無い苦しさなどよりも、ただただ 両親に死なれてしまったことが あまりにも寂しく思われ、いきなり 涙が溢れてきてしまいました。

 ひとしきり泣いた女の子は、涙に曇った目を手で拭いて、周りを見回しました。すると・・ どうしたことでしょう。
  女の子の回りには 空からつぎつぎに星が降ってきては どんどん 金貨になっているではありませんか。

 そして ふと気付くと、女の子は いつの間にか 暖かな とても よい仕立ての見事な服を着ていました。

 女の子は 思わずひざまずくと 天の神様に向かって お祈りを唱え、心から感謝しました。

 すっかり元気になった 女の子は、自分の周りの金貨を すっかりポケットに押し込んで森を抜け、大きな街に行きついてからは、そこで 一生 幸せに暮らした ということです。


このお話は ご存知でしたか?
本やテレビなどで 知っておられる方も多いことと思います。

 今回の このお話は、やっぱり 毎度のごとく 遠藤の脚色がしてありますが、この話を どこで読んだり 見聞きしても、あまりに 飾り気が無くて、なんか すごーく お話お話していて いつも なんとなく 物足らなく思っていたので、こんな風に 仕立ててみました。

 クリスマスですのでね、やっぱり そんな話を とも 思ったのですが、そこを ちょっとひねって? このお話を持ってきたのは、このお話の語らんとするところが、クリスマスの告げるものに通じていると考えたからです。

 クリスマスって なんでしょう?

 ある時 一人の子供に 聞いてみたことがあります。

 彼は答えましたよ。
神様が大事なたった一人の子を、僕たちに下さった日。」

「どうして 神さまは そんなことを してくださったのかな・・?」
「だって、だれでも とっても好きな人には 一番いいものをあげたいとおもうでしょ? 神さま、人間がとても好きなんじゃない?だから 一番大事なものを 僕たちにあげたかったんだよ。」

「そうか・・。うれしいね。なにか お礼が出来るといいね。」
「うん。あのね、僕たちも 神様にしてもらったことを、みんなにしたら 神様も 喜ぶかなって・・。」

「どうすればいいと思うの・・?」
「クリスマスには、家の人たちや友達や、いつも会う人たちに ありがとうって思って 親切にしたらいいかな って思った。」

「いいアイデアだねー!やってみよう。クリスマスだもの、ね。」
「うん、でもさ 本当は クリスマスだけじゃないほうが いいよね。」

「いいよ、クリスマスだけでも。クリスマスだからと思って 一生懸命 一日、会う人たちみんなに 親切に出来たら、嬉しいね。」

「神様も、多分 嬉しいよ。」

 そうだね・・ と 私は 心の中で言いました。言葉にならなくて・・。

 

良いクリスマスを・・!!

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