B-Note   V


B=H♭ ; B=美

B=子供の自然な基調音 & 遠藤が構えずに声を出すときのキー音、

Note=音;記録;書き記す;遠藤がおもいつくまま書き残していくもの・・・

B-Note=”美しいもの”の記録

野分ごろ

2005/9/14 風の・・
2005/10/4 秋のひとこま

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2005年9月14日

 

南国の空と光 そのままの強さで

太陽は じりじりと 地上を焼く

その上を 何ゆえ吹くか この凶暴な風は・・!

 

ターフを吹き上げ カーテンを巻き上げ、ドアというドアを思いっきり開き
草々を分け、木々の頭を無理やりねじ伏せて 

それは 狂ったように めちゃくちゃに吹き飛び回る

 

この日差しは まるで南欧

鮮やかに くっきりとした輪郭を 日のあたるすべてに与えている

その中にあっては 鮮明なるか この風も・・!

 

着ているものも 飲み食いするものも いまだ 以前のそれではあるが
しかし、この空気の肌触りは これまでのものとは 違っている

 

何を知らすか この風は・・!

 

遠く はるか遠く・・ どこぞの空の下に生まれたそれは

山に打ち当たり 雲を裂き 波 逆巻かせ 森を揺さぶる

この世の暮らしに茶々をいれ、人塵芥もごちゃ混ぜだ・・

 

気がつけば 日差し傾き

いまだ きらきらと輝きを放つ 日差しを受けたつややかなみどりたちは

その風を受けた分だけ 時を経ている

 

そう・・ 気がつけば、 季節を分ける 風が過ぎ行く・・ 

 

 


 

2005年10月4日

 

すこし 曇った 空の下 荷物を出しに 出かけます

風の乙女は 眠たげで ちょっと吹いては すぐ休む

風と 風との あいまには 甘い香りの金木犀

静かに そぉっと 流れます

 

はじけて 裂けた 椿の実 その すぐ下には つぼみたち

いくつかずつに 寄り合って すこぅし ふくらみ 夢見てる

 

すこし 曇った 空の下 川の水さえ 穏やかに

きっと それが うれしくて 鴨に白さぎ 水辺の小鳥

わき目も振らず お食事中 水がやさしく流れます

 

あたりに 満ちる 甘い香は 風が 眠ってしまったから

ただただ 静かに そこにいて 愛らしい笑みを 誘います

 

すこぅし

曇った

空の下

雲間に

白い

月の影

 

レースのような

 

月 の 影

 

 


 

2006/02/12

 

 

Jazzy Time

 

深く澄んだ音が ちょうど良い速度で 流れる

やわらかで 穏やかな声色

 

そちこちに飛び散っていく硬質なピアノの音が 

キーンと張り詰めた冷たい空気にあたるたびに きらめく星屑を散らしていく

 

ブルーバラードが物語るままに耳傾ければ

 音も立てずに流れる ゆるゆるとした川の中に身を浸すような・・

 

このまま 

まるで どこかへ還るかのような とろりとした

少しぬくもりさえ感じられる水の中を 

どこか・・ 流されるままに どこかへ・・

 

私の中には 決して届かない  と 小首をかしげながら 少し悲しげにつぶやき

あなたが私にくれた 全てのいとしいものを思い出して・・  と つぶれそうな胸の内を唄う

 

あの夏の日 そう 今日のような日の午後

私たち 幸せで よく笑いあったわね

あちこちのカフェで ちょっとした隙を見つけては キスしあったわ・・

 

一緒にいてよ

君が僕を 見つけ出してくれたんだよ

僕たちの恋は

いとしくて とても 悲しくて・・ そして とても やさしい恋になるだろう

ちょうど この やさしい雨のように・・・

 

ここちよいバラードを いつまでも いつまでも 聴く・・

あいまいな記憶の中 

昔 懐かしいことを ふと思い出してしまうような

そんな気持ちへと連れて行くのが 

うまいんだ 

この音達は・・

 

時々 ジャジーな時間がほしくなる

 

その音達のいざないを 戸惑いながらも 待っている自分がいる

 

愛することに 臆病で  傷つくことが 怖かった自分を

それでも たまに 思い出したくなる時もある ってことなんだろうな・・・

 

Jazzy Time

 

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In Tune
The Oscar Peterson Trio + The Singers Unlimited

it never entered my mind
the shadow of your smile
once upon a summer time

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2006/02/21

 

 

パソコンを 立ち上げる

 

必要なことをすませたあと あちこち飛んで 眺めてみる

 

”今日は 今評判の○○へ行った。” ”彼氏が メールも電話もくれません。” ”こういう場合は こちらから請求しても良いものでしょうか?” ”ああいうやつだと思えば それも仕方ないのかもしれない・・” ”◇◇を試してみたけど みんなが言うような感じは・・”
”妻のクレジットカードの請求を見て 思わず声を上げてしまった!” ”もう ぜってー アンナやつのいうことなんか きかねー。”
”どうして 言うことを聞いてくれないのか わかりません。” ”それ面白そうですね やってみたいです。”

”〜〜”
”なんか いいことないですかぁ〜?”
  ”〜〜”
”そういう風に考えるのは 僕だけでしょうか?”
    ”〜〜”

 

声が聞こえる

目で見ているだけなのに 底のほうで ざわめきのような 声がする

その 声色までもが知れそうなくらい

その 人が知れてしまいそうなくらい

 

あ 今 あの人がしゃべったんだ

これは あの人だな・・ と すぐに知れてしまうくらい

声が聞こえる

 

字面を背負って その 声々が 

本当は 聞いてほしいのに 

本当は 自分がここにいるって ちゃんといいたいのに

ごにょごにょと ぼそぼそと ぶつぶつと

ただ 底のほうで 鈍く ぐわんぐわんと 

夏の蚊や蜂の羽音のような振動を この耳に届けに来る

 

ただ 字面を眺めているだけなのに

ただ 時間つぶしに見ているだけなのに

 

人は それほどまでに 自分が居るということを 主張したいのに

それなのに それなのに・・・

顔を隠し 名前を隠し 居所を隠して

別の自分になり そして やっと

いやいや それでも尚

私は ここにいる と 言いたがる

 

氷雨のように    よどみのように

 

まるで 半べそをかきながら

でも できるだけ 泣いてしまわないように

だって 一度泣いてしまうと 

どこにいるかも 自分が誰なのかも 

わからなくなってしまいそうだから・・

 

そんな風に 途方にくれながら 帰り道を探している

子供のような

人々の 声が聞こえる

 


2006/09/10

 

 

地上は

まだまだ 煮えている

ただ、絶頂期は 過ぎたかもしれない

 

空では

雲が 走っている

風が いきりたって 雲を追い立てている

 

山では

未練がましく いつまでも 蝉が鳴き続ける

それも やけに 騒々しく かしましく・・

 

海は

ひろく 大きくなった

人の気配が減り 海は ただ 海であるようになった

 

光が

密度を 変えてきた

暑熱と熱風を凝縮した濃さから それらが 少しずつ抜け始めている

 

緑たちに 疲れが見え始め

木々と山々に 硬さが感じられるようになった

 

高く 青さを増していく空は

受けきれない 光の残りを無理して引き受けては

引きつった笑いを浮かべながら 後悔している

 

空を 風に追い立てられて走る雲は

その 取りこぼされた光で 溶かされながら

青を薄めて 高くする・・・

 

 

視界の端に 

鮮やかなサマードレスのすそが 翻る

 

沸騰のおさまりつつある地上を ざんっと蹴って

風に逃げ惑う雲を さらに追い散らしながら

山の蝉たちを あたふたさせて

一足飛びに 海へ・・・!

 

夏が、往く

 

 


 

2006/10/20

 

 

ついこの間までは

その時間であっても まだ 表に明るさは残っていたのに・・

このくらいの時季になると 

もう すっかり 同じ時間でも あたりは暗くなってしまっている

 

こぎれいな住宅街の あちこちの家に 明かりがともり

それぞれの前を通りすぎるたびに

玉ねぎを炒めるにおい、昆布だしの匂い

カレーのにおい、味噌汁のにおい・・・

 

同じような時間、どこの家の中でも 同じように夕餉の支度に忙しい

 

すこし 肌に冷たくなった風を

すこし 寂しい気持ちで 疲れた体に受けながら

今日も 何とか終わりそうだな・・ と おもう。

 

食器の触れ合う音に混じって 会話する声が 耳に届けば

ふいに 自分が 遠くなり・・

黙って歩く自分の目の前に

淡くぼやけたような ある団欒の風景が 浮かび上がる・・

 

一つ一つはそれほどのものでもないが

パッチワークのように 

細かな針目で丁寧につなぎ合わされた

いくつもの小さいな幸いのひとつが 

そんなところにもあることを

 

当たり前と思っていた 

自分にもあったあのころの”恵まれた時”が、

通り過ぎる それぞれの家々の中に 今 あることを 

 

ゆっくりと歩きながら 柔らかに気付く・・

 

とっぷり暮れた夜道の先に 君の影が 近づいてくる

 

冷たくなった手に しみこんでくる 君の手の暖かさ

私たちも 二人して

今日の夕餉に 帰っていく・・

 

 

 


2007/1/16

 

 

この

静けさが

すき・・

 

ほんの微かな風のそよぎで

それは 僅かに身を震わせる

 

時が

ゆっくりと 動いている・・

 

湿り気のない 乾いた小山に残った木々に

互いの身を重ねあって しがみついている 

強張って 堅さばかりになった葉の

一体何に惹かれたものか、

太陽は 金のモールを刻んで振りまいたような

眩いばかりに輝くテクスチャーで それを覆った

 

あまりの静けさ

音のない ゆっくりと歩む その時の中で

ほんの微かな風のそよぎに

それは 僅かに身を震わせ

思いがけなくも得た己の眩さに うろたえて 言葉を失っている・・・

 

ぼけたような淡い水色の不確かな空にいる日は

息することも忘れたような穏やかさにあるうちに

何とはなしに そんなことを思いついたのだろうか

 

小鳥の 一羽の羽音もない

抜き足差し足の用心深い猫の歩くもない

一向 空気の動く気配のない中にあって、

そこにだけ

ほんの僅かな風はそよぎ

太陽がふりかけた 刻んだ金のモールの 眩しく輝くテクスチャーを

ただ分厚いだけの堅さの葉とともに

ちょいと 小突いてみては 様子を窺うように

だまって 眺めている。

 

時が

ゆっくりと 動いている・・

 

この

冬の昼の 静けさが

すき・・

 

 


2007/03/07

 

 

春に応えて 花が咲き

色浅く やわい 葉が満ちる

 

毎日めじろがやってくる

椿の蜜をおめあてに

 

朝の庭を訪れる

小さな鳥たち 目覚め風

 

まだまだ 眠る楓木は

いまだ 葉のない裸木で

 

都合がいいのか すずめたち

葉のかわりにと 群れ止まる

 

静かで 落ち着く朝なのに

すずめはしゃべる みんなして

 

何がそれほど大変で

やたらめったら しゃべるのか

 

にぎやか かしまし すずめの木

互いに 枝を行き来しつ

 

一向 止まぬ おしゃべりに

お日様だって 苦笑い

 

楓は すずめに気を遣い

芽吹くのさえも 遅らすか

 

若い葉群れの中にあり

裸の楓木 寒そうで

それで すずめが止まるかな

 

すずめは とっても いそがしい

いつまでしゃべる すずめたち

 

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気まぐれすずめは ぱっと散る

 

あたりは 急に しん とする

めじろは だまって 朝ごはん

 



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