B-Note Y

B=H♭ ; B=美

B=子供の自然な基調音

Note=音;記録;書き記す;遠藤がおもいつくまま書き残していくもの・・・

B-Note=”美しいもの”の記録

 

 

 

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鋼と紅

 

2010・5・29

 

 

この 冷たさは

少しだけ 心細げ・・、

この ひぃやりした感じは。

 

降り続けた雨が 鎮まっても

まだ 葉先には 雨の記憶

 

しん として、心もとない時間を

ただ じっとして

まるで 堪えるかのように、 

そうしていなくてはいけないかのように

独りでいたのだけれど。

 

外は 少しの赤みもない 夕暮れ

風の証に ゆるく 青煙が たなびく・・

 

気が付けば 身の回りの 

こわばり黙したすべてのものの真ん中に

 

冷えていく自分と

熱い薔薇茶だけが 生きている

 

ぬくもりの浅い 手指を通って

まとわりもせず、媚もせず

血と美の紅い鼓動が

脈打つように 末端にまでも 染み入ってくる

 

 

鈍い鋼色の時分には 薔薇茶の紅が

必ずのように 出会っている

 

 


雨の情景

 

2010 /06/14

 

 

切り損ねて 伸び放題の椿の枝先に 微細な雨粒を寄せ集め 

風に揺らめく 透き通った玉を いくつも いくつも その葉に作って宿らせては 叩き落とし・・

・・を 繰り返している

 

 


雨の情景 2

 

 

2010/06/14

 

見渡す限りの 雨の海に漂う 緑の魚たちは

風の波に 煽られて 時に 白い腹を見せ、

時に 奥底へと 頭を押し込み

むこうへ こちらへと 息つく間もないほど 泳ぎ惑っている

 

いつまでも いつまでも 執拗なほどに 雨が 降る

気まぐれな風は 魚たちの慌てぶりが おかしくてか

これも 繰り返し 緑たちを 追い立てる

 

皆 それぞれが くたびれ果てている頃だろうのに

ただただ おかしくて おもしろくてがやめられず

いつ果てるともない そろそろ わずらわしくなってきた追いかけっこを

それでも 皆して 楽しんでいるように思うのは

見ている側、海には住まない 陸の上の者だからだろうか・・

 

 


SORA 1

 

10/7/14

 

風の音かと思うほどに 遠く聞こえた 羽ばたかぬ飛ぶものの唸りに 振り仰いだ空は 

白い島々の浮かぶ 果て無き青の空間

 

向こうの空へ 焦がれるように行ってしまったものの記憶を

風は 急いで集めた雲たちで 跡形もなく 消し去ってしまった・・

 

 


 

SORA 2

 

10/7/14

 

 

ごらん

流れのままに揺らめく海藻の見上げる先には

水のうねりにかきたれられて泡立つ波を

高きところの太陽が 幾すじもの光を注いで 天へと導くのが見える

 

空と海とが かつて 一つのものだったと 腑に落ちる瞬間

 

 


 

夏の花

 

10/07/15

 

 

ぎらぎらと、射るかのような 凄まじい日差しが

木々の緑葉に強く照り付けて 

こぼれる落ちるほどの 光の花を咲かせている・・

 


 

羽化

 

2010/8/22

 

10年の時を経て得た 翡翠の翼は 朝日に打たれて 赤鋼の鎧となり、

 全身に漲り満ちる力で 日に向かって 声高らかに 挑み続ける

 

その 瞬く間の生など知らぬまま 彼は ただ まっすぐに

そのように 生き抜く

 

 

 


 

 

シェルボート

 

2010/9/05

 

貝殻ボートは 虹色小船

静かに 黙って 漕ぎ出せば

淡い 夢見の船になる

 

 

行っておいで はるかな近くへ

耳を澄まして 目を閉じて

柔らかな光に たゆとうて・・

 



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