ひつじ小屋だより 80

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ひつじ小屋の風景70

優しい思い

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『エレの引き出し』

おうちへ 1

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考えるひつじ

まわりをみれば・・

ちまたのはなし

メイクアップ

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愛すること 28

きれいをおいしく!

ひつじ小屋の日々

編集後記

発行日 2007/06/05発行人 遠藤由美子

 


ひつじ小屋の風景 70  優しい思い

  もう20年以上も以前の冬のある土曜日の夕方。
 その先の角を曲がれば駅になるというころの少し手前で、通りを横切っていたおばあさんが急にかくんと膝を折ってへたり込んでしまいました。すぐに後ろを歩いていた中年の男性が、おばあさんの腕を抱えて立ち上がらせようとし、また近くにいた40代くらいの女性もおばあさんが取り落とした手提げ袋を拾い上げて、男性と一緒におばあさんの両脇を支えながら通りを抜けて行きました。

 彼らの後を追うように角を曲がった私と子供たちは、大きな木の周りにぐるりと作られたベンチに、そのおばあさんが座っているのを見ました。用を済ませた私たちはそのままバス乗り場に向かって歩き始めたのですが、冷たい風の吹く中、人通りのせわしい吹きさらしのベンチに 途方にくれたような様子で座っているあのおばあさんが気になり、そばへ行って「なにかお手伝いしましょうか?」とたずねました。おばあさんは、急いで言いました。「タクシーを呼んでください!」

 そこは車を止められない場所だったので、それではタクシー乗り場まで一緒に行きましょう、と提案しました。ですが、おばあさんは足、とくに膝に力が入らないということなので、私は息子を呼んでおばあさんの腕を支えて歩くようにいいました。息子は、いいよ、といっておばあさんの歩きやすいように腕を貸し、私は、おばあさんの手提げ袋を持って少し先を歩いて、タクシー乗り場に向かいました。

 全員でのろのろとおばあさんに付き添えば人目を引くかも・・と思ったので、私は娘に末っ子と一緒に本屋で待っているように言い、私と長男はおばあさんと短い話しをしながらタクシー乗り場に行きました。

 土曜の夕方のタクシー乗り場では、タクシーがなかなか来ないようで何人かの人たちが列を作ってくたびれた様子で待っていました。
  私はおばあさんに、家がどのあたりなのか、家には誰かいてくれているのか、タクシー代は大丈夫か、立っていて辛くないかなどなど聞いたのですが、おばあさんはいちいち丁寧に答えたあと、ふと私に向かって 「本当に助かりました。貴女様とお子様たちのためにお祈りいたします。」ときっぱりとした口調で言いました。

  私はちょっとびっくりしましたが、すぐに「ありがとうございます。お願いします。」と答えました。

・・大きなぺリドットの目の 
あの毛のふわふわした・・

 そういう会話をなるべく回りに聞こえないようにしたつもりだったのですが、私たちの前で 大分順番を待っていて いい加減待ちくたびれ始めた二人の小さい子供をつれたご夫婦の奥様にはそれが聞こえていたようで、その人の番になったときに彼女は振り向いて、「お先にどうぞ。」と声を掛けてくれました。
 「ずいぶんお待ちになられたのに、よろしいのですか?」「どうぞ、寒いですから冷えるといけないし。どうぞお先に。」

  私はお礼が言っておばあさんを乗せ、運転手さんに場所とおばあさんの状態と降りるときに手伝ってほしい旨を告げると、運転手さんは「かしこまりました。」と返事をして、急いで車を発進させました。
 タクシーが出た後、私と息子は順番を譲ってくれた女性とそのご家族に再びお礼を言って、子供たちの待っている本屋に向かいました。

 おばあさんは恐らく無事に家に戻ったことと思いますが、おばあさんがきっと予想もしなかった”突然道端にしゃがみ込む”という事体から”自分の家に戻る”まで、数人の人たちの手と心が起こした一連の出来事は、今でも思い出すたびに関わった人たちの「人への優しい思い」の表れを感じる出来事として記憶に残っています。

 20年前の冷たい風の吹く寒い冬の土曜日の夕方、恐らくその出来事に関わったものたちのそばを通り過ぎた幾人もの人たちの目には、映ったところで一瞬のうちに忘れ去られていただろうその出来事は、雑踏の中で見知らぬ者どうしが、わずかな時間に深く暖かく「心を合わせた出来事」でした。

 『人』についての良い記憶のひとつとして、いつかは一度書いておきたいと思っていたことでした。

『エレの引き出し』

 おうちへ 1

 きいろいひつじも きのはとも おにいちゃんのきもちも よくわかりましたが、ここは どうしても ちいさいえれを さきにしなくてはなりません。

「おにいちゃん、もうじかんがないんだよ。そろそろ ひきだしから もどらないと、もう にどと いえにはもどれなくなっちゃうんだよ。」

おにいちゃんは じぶんたちが やってきたときのことをおもいだしました。

 そうだった、エレの引き出しから ぼくたちは ここへきたんだった。だいたい ぼくたちは ひつじやはとのおおきさになってここにきたんだもの。
じかんがきて もとのおおきさにもどったら もう はとのせなかにはのれない・・!

 ほんとうに すごく ざんねんでしたが、おにいちゃんは しぶしぶ わかった・・と いいました。

 ふたりといっぴきといちわは はとのせなかにのり、しかくいひみつのいえのむこうに見える さんかくやねのきれいな ねむらせのいえ をしたにみながら、どんどん そらたかくのぼっていきました。

つづく・・・

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考えるひつじ 4

 まわりを見れば・・

 人は 自分の思惑と外れた結果になった時、それをどう受け止めるかでその人となりも見えてくるように思うが、今回の「赤ちゃんポスト」に3歳の子供が託されたことに騒ぎ立てている人たちにもそれは当てはまるように思う。
  '新生児が託されるはず、そのために準備してきた'としても、今回のようなことは恐らく想定内でもあったろうし、そのなったらそうなったで、ポストの設置の必要性を説いた側にも、それなりの算段はあるのだろうと思われる。

 どうするんだ、それ見たことかと声を荒げることのほうがおかしい。ひょっとすると、そう言う人たちは、自分の思い描いた「幸福」以外を幸福とは、なかなか認めにくいのではないだろうか。子供の親らしき者が 子供をポストに託す前に誰にも相談していない(らしい)ということのほうが、よっぽど問題とされなくてはならなくはないだろうか? これは大変に大きな問題だ。

 人として「安心して重大なことを打ち明け相談する相手を持たない孤独」は、生きていくうえで かなり辛く苦しいものだからだ。
 
  何かを初めて行おうというとき、思惑外のことが起こってあれこれ揶揄されるのは当然あるものだが、何よりも行い始めたそれが我欲のためではなく、むしろ困難を引き受けようとしての結果なら、正されるべきは世の理や人の心の差別意識であり、けっして今回の病院側を非難・批判するものではないと考える。


  ちまたの話し


↑鎌倉「豊島屋」の羊羹『由比の月』
夜の由比ガ浜を照らす月。すてきです。


・出先から帰った連れ合いのタコ氏、戴き物の新鮮な野菜などと一緒に"甘さ控えめ"羊羹を持って帰る。(羊羹なのに何故??羊羹=甘い、では?)

・別の日、知り合いのご母堂様よりも見た目も美しい羊羹を戴く。タコ氏、積極的には食べないため一手に引き受ける ^^v (らっきー♪)

・個人的には、虎屋の『おもかげ』が超絶品!と信じていますが、それぞれ美味でした。
  写真の湯のみはお客様手作りのプレゼント。かわいいの


それにしても、和菓子っておしゃれでいいですね。

 
  メイクアップ
 

 最近、つくづく「きれい」というのも自己責任のうちかもしれないなぁ・・と思うのです。
基本的なお肌への一般的なお手入れとしては、(メイク落とし)洗顔→化粧水→クリーム、日中は日焼け止め効果のあるメイクベースのあと必要とする箇所へのファンデーションとお粉にポイントメイクで、肌に水分が満ちて潤いが保たれていさえすれば、恐らく どなたでもこの程度で十分以上なはずです。 

 それじゃ、しみが、しわが・・といわれそうですが、それでも上記のように済ませる事は可能な場合もあり、その人なりの工夫を時々に合わせてすれば、殆ど問題ないと思われます。大切なのは、そういう工夫は、本当に 人それぞれで、雑誌やテレビ、美容関係者からある程度のノウハウは得たとしても、それはそれ。 
 
知識や情報をどのように自分のために生かしてくかは、自分が悩み試行錯誤しつつ、日々繰り返して得ていってこそ、その人に適した「きれい」が実現するのではないかと。 

  適度な水分のある所とそうでない所にいる人の肌は、やはり違いますし、性格や習慣、環境、食事、嗜好の傾向などによって肌は夫々です。
  結局は自分の願っている「きれい」を実現するのはご本人。人任せにせず変化する自分と直に向き合い、折々に 自分と対話しながら自分を創り上げていくのが、その人のための「きれい」だと思うし、それだからこそ、やっぱりきれいも自己責任のうち と思うのですよね。


愛すること 28

♪ 仕事柄、肌や商品について相談のついでに、たまに個人的なご相談について、やり取りをすることもあります。電話相談のように、顔が見えない、日常での直接の関わりがない。でも一応お客様として伺うので、安心してお話いただけるのでしょう。

♪ 相談事には、話しているうちにおぼろげながらも道が見えてきたり、どうにもならないと分かっていても誰かに話すことで一息つけたり、話せば身近な人に心配を掛けてしまう、でもだまっているのが辛くて・・などなど、あると思います。

♪ 私も恩師に散々に相談を持ちかけましたが、その殆どに黙って聞きながらうん、うんとうなづくばかり。別れ際の握手と「祈ってるからね。」は常の台詞でしたが、それがどれほど私を助けたか・・!

♪ 人の困難を克服しようとする意志は尊重されるべきで、行動の示唆ばかりが親切ではない。その人がその時一番よいと判断して行ったことを、結果に関わらず受け入れる"心"が必要 と思うのです。

きれいをおいしく!
もう一品を電子レンジで手早く

1 ピーマンのおひたし
ピーマン1〜2個の種を取り、縦に細く切ってラップに包み電子レンジで1分。熱々をさっと水に浸し、水気を絞って器に入れ、たっぷりの鰹節をふりかけた上からめんつゆを好みの濃さで回しかける。

2 なすの辛し和え
なす1個は半分に切り少し水に浸した後、ラップに包んで電子レンジで1分半加熱。食べやすい大きさに切って、納豆のたれからしを好みの量加えて混ぜ器に盛る。適量の白ゴマを振る。

3 しらす揚げ
しらすは、耐熱の皿にキッチンペーペーを敷いた上に平均に広げ、上にも一枚かぶせて電子レンジで水気を飛ばす。小さめのフライパンで中温にあたためたに、熱を冷ましたシラスをいれてこんがりするまで揚げる。油を切って冷まし、瓶などで保存。(このふりかけご飯がおいしい。)

3品とも簡単で
とてもおいしいんですよ

ひつじ小屋の日々

◇ しばらく疎遠だった人とひょんなことから2度ほど間をおいて出合うことがあり、共通の友人だった人とともに旧交を温めるときがあった。

◇ 行き来の始まったきっかけは彼女が製作販売している帽子展。 最初に行ったとき、同行なさったもうひとりの友人のお姑様が帽子の注文をされ、そのアドバイスをとお誘いを戴き再開した出会い。
  自分のものではなくても、お人柄を見極めてのおあつらえの帽子を見られて、良い気分だった。

◇ 一方、ある方から、ほんの少々お役に立てたからと、墨跡も鮮やかに流麗達筆な和紙でのお手紙を頂戴したが、通常そのような経験も無く、ただただ面食らってしまい途方にくれるばかり。
  散々考えた末、自分の通常のワード書きを印刷、宛名は直筆という返事を投函したのは半月後。

◇ 文化は尊重してしかるべきとは思うものの、なるべく相手を見てなさっていただければ・・と、失礼にも思ってしまった。
  自分で書いた字の判読にも苦労する自分には 日々と心に重い手紙だった・・

編集後記

かつて経験した店頭販売でとても苦手だったのは美容と健康の関連商品。そうまでしても元気やきれいを願わないので、仕方が無い。

・こういう仕事をしながら、解毒排毒にもさほど興味が無いのも、なったらなった的な意識だからだろう。
  毒素の95%が通常の排泄でなされ、残る5%は汗などによる分泌物というのなら、その5%に大枚はたくより、生活習慣を改めるほうが美も健康も確かだろうと思うのは、自分だけ?なのだろう・・。

Aurea Ovis

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RAIN

The rain is raining all around,

It falls on field and tree,

It rains on the umbrellas here,

And on the ships at sea.

-R.V.Steavenson  "A Child's Garden of Verses"

 

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