B-Note   W


B=H♭ ; B=美

B=子供の自然な基調音 & 遠藤が構えずに声を出すときのキー音、

Note=音;記録;書き記す;遠藤がおもいつくまま書き残していくもの・・・

B-Note=”美しいもの”の記録

 

初夏へ

君の眠りに・・
煙る丘

なつ

言の葉

もみじのころ

時の流れ

眼差し
雪の朝

晩春

時の眠り
一色海岸にて)

夏日

分岐点

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2007/05/08

 

君の眠りに あの猫がいるのだろうか

あの 毛のふわふわとした 抱いても重みを感じないような

それより 抱こうとしても その手ごたえを感じないような

あの 毛のふわふわとした猫

 

色は はっきりとは分からない

だって 日の当たるところにいるときは その毛先は光色だし

影の中を歩くときは 溶け込むようなダークグレー

月夜の晩では 星の金目に漆黒の体で

雨の日には そう・・

濡れそぼって 身体を振るわせるたび 虹を振りまくのだから・・

 

君の眠りに あの猫がいるかい?

穏やかな 初夏の日差しの降り注ぐ 緑に囲まれた 小さな畑

日ごと 豆のつるが延び

葡萄の葉が 棚に重なり合って 影を濃くしていく この静かな畑を

こっそりとの音もなく 気が付けば そこにいるような

あの毛のふわふわとした猫

 

おじいさんが せっかく掘り起こして きれいに畝造りをしたのに

あのふんわりした足で 畝の上に行ったりきたりを繰り返し

あげく 穴を掘ったり ごろごろとねっころがっては うつうつするような

あの 毛のふわふわした猫

 

安心しきって 日にふんわりしたお腹を撫でさせる猫のむこうから

時を告げる古い柱時計の 乾いた かろい音が聞こえてくれば

それが もしかしたら現実かもしれないと気付かせるような

そんな あの猫

あの 毛のふわふわとした猫が いるかい・・?

 

しばらくの雨の後の 久しぶりの好天で

あらゆるものに たっぷりと含まれた水が

日の誘いに身を軽くして ゆるゆると 静かに天に帰る時に

大きなぺリドットの目を細め 首をもたげてそれを見送る

あの 毛のふわふわとした猫は、

今 

君の眠りの中にも いるのだろうか・・ 

 

 


 

煙る丘

 

細かい霧の幕が

緑豊かな小さな丘の姿を

静かに 静かに

覆い始める・・

 

紗やシフォンよりさらに薄く

きっと 手に触れれば

はかなく消えていく はずの・・

 

終日の雨は夕闇を迎えるころ

一粒ずつを編みこんだ

シルバーグレーのドレープで

重たげな 丘の眠りを 抱え込む

 

 


 

2007/07/31

 

言葉とはよく言ったもの

そちらとこちらの間に

言の葉が ひらひらと 撒き散らされて・・

一体 なにをいいたいのやら

 

それは まるで 庭掃除

そちこちの落ち葉を集めて 焚き火をしようと

庭のむこうとこっちから

同時に 掃きはじめたというのに

 

言葉遊びの売り買いが

だんだん本気になっていき・・

せっかく まとまり始めた落ち葉なのに

その辺 やたらに ちらばって・・

 

ちゃんと 集めて 山になれば

おいしいお芋も焼けるというのに・・

一体全体 なにをしてるのやら

言の葉がめったやたらに 宙を舞う

 

情けなくてさ

ほんっと いい加減 うんざりするよ

もうちょっと 大人だと思ったんだけどナー・・

お互い ね

 

こういうときは 黒ヤギさん

白ヤギさんに お手紙 書こう

食べちゃったっていいじゃない

白ヤギさんは お返事 書くよ

 

さっきのお便り なんだったの? って

 

葉っぱに 書こう

言いたいこと と 言うべきこと

そして 集めて 山にして・・

おいしいお芋を 焼きましょう

 

一緒に 食べるその時は たまに目が合い 笑うだけ・・

 

 


2007/09/30

 

 

網戸を向こうへやり

クリアなガラス窓をしめた部屋の中から見る

雨の日

 

これまでとは違うひんやり感のある空気や

お愛想のように たまに吹く風にちょっとだけ揺れる 

硬く色あせた緑たちは

なんだか しばらくぶりの冷たさのある雨を受けて

気が抜けたように ぼんやりとしている

 

じっとしていると 薄ら寒さをじわりと感じる昨日今日

いつもなら 晴れて高く澄んだ空を見上げて知る秋を

今年は 音も立てずに降り注ぐ

静かな雨で感じている

 

休日の朝

わずかに光を含んだ灰白色の空から降る雨は

向かいの山を 夢の中のように 遠くして

狭い庭や小さな畑だけに囲まれた部屋を

手の中にくるんで

そっと 

愛しんでいる

 


2008/01/01

 

 

しずかで

穏やかな光が 東の山の端から海に向かって

緩やかに広がっている

 

人の測ることのできない微々たる速度で

日は、しかし 確実に昇り

昼を示したのち一日を閉じる。

 

そんな風に 気が付いたら時が経っていたことに思い至ってからは

早かったな・・と思う回数が 増えてきていることに

分かってしまっている

 

こんな風に 時や事態を感じるようになるとは

思わなかった  が、

やはり 自分が思う以上の確実さで

我が時が過ぎていくことを どこかで納得している

 

年が明けようがあけまいが

時が経とうが経つまいが

過ぎ行くものは当然過ぎていく


私たちの世界では、時に抗って残るものなど

有史以来 ごくごくわずか 数えるほどでしかない

 

誰が私を記憶しよう・・

誰が 私を 永遠になど 覚えているものか

今 ここに私がいることさえ 知らないものの方が圧倒的に多いのだ

 

大海の水の一滴

砂漠の砂の一粒

数え切れないほどの 森の木の葉の一枚

 

しかしながら

その取るに足らない なんのためのものかもわからない存在の

その一つ一つを手に取るように理解し 見つめ

愛しむ目がある

 

それは 人には敵わない業

その目には 私は ひとり、唯一無二

 

その目には 大海の一滴の涙が見える

その目には 砂漠の砂の一粒の痛みが見え

数え切れないほどの 森の木の葉の一枚の悩み苦しみ

日々の徒労が見えている

 

どれだけの人が 私を覚えているだろうか

誰も!

 

が、人には敵わない業の持ち主であれば

その目に 私は 永く在る

 

愛しみを持って 厳しく

恐ろしいほどに きっぱりと その与えられた時の諸々を裁断する目は

私の良いも悪いも知り尽くし

その一瞬の生のうちに

わずかな愛を持ってした ほんのちょっとの行いにも

目を留める

 

その眼差しの故に 私は 在り

その眼差しの故に 私は 私を生きる

 

そして これからも それで いい・・

 

 

しずかで

穏やかな光が 東の山の端から海に向かって

ゆったりと 広く のびている

 

人の測ることのできない微々たる速度で

時は 確実に 過ぎ

最期の風が連れにくるまで 唯 在ろう

時々の こまごました 取るに足らないあれこれとともに・・ 

 

 


 

2008/02/03

 

 

これほどに にぎやかに 次から次へとやってくるのに

そのどれもが まったくの無音

 

後から 後から・・ いつまでも どれほどまでも

ただ ただ白く そして どこまでも 密やかに・・

 

わずかに葉野菜のあるが知れる小さな畑の向こう

その雑木林の厚い葉のそれぞれに ぽってりと白をまとわせ

寒々しい裸木には 銀のモールを絡ませる

 

 

後から 後から・・ いつまでも どれほどまでも

 

ただ ただ白く そして どこまでも 密やかに・・

 

 

冷たく 寒く・・

気が付けば 人々の毎朝の音も無く・・

 

 

ただ 白く 

  

  ただ 冷たく・・  

 

そして  さらに  白 ・・ 

 

 


2008年 4月某日

 

 

 

たくさんの時の波が 柔らかな曲線を作り出した

その まろい 形

まだ 水あたりの時間の少ないものは

ほら すこし 角

 

波打ち際から いきなりつれてこられて

きっと 戸惑っているかも と おもったので

まがい物の空と緑の中に そっと 置いてみた・・

 

光を受けて 思い出したかのように

海の記憶を 閉じ込めて眠る かろい石たちが

遠い過去の夢を つぶやき始める・・

 

A.O.の散歩道15へ

 


2008/08/08

 

ああ  まただ・・

 

う〜ん・・ どうしようかなぁ・・

どっちがいいのかなぁ・・

 

そう、

こういうときこそ 考える

・・なんていって なかなか きめられないんだよねー

 

何度目かの分岐点

幾度目になるのか こんな分かれ道

道が 二手に 三手に あるいは四方に分かれているような
そんなところに でくわすと
まったく いちいち 途方に暮れる

 

だけど 結局 やっぱり 自分で決めるしかないんだよね
誰に頼んで 決めてもらうわけにも行かない

だって これ 自分の道だし・・

 

なんか いつも思うんだけど
自分の道ほど 分かれ道の多い道ってないような気がする・・

ま 多分 他の人も きっとそんな風に思っているんだろうけれど

 

さて どうしたものか・・

 

でも  ま いっか

迷ったり適当だったりして どれかを選んだとしても

いつも思う

あっちのほうがよかったかも って 思ったことがない って

 

選び方が悪くてさ

散々な目にあって なんでもまた・・!とおもうような
酷い事ばかりが続くような
そんな道を選んだとしても

後から思うと
じゃあ あの時 反対のほうへいっていたらよかった・・
って 思うことって 意外と ないんだよね

 

いいんだと思う

自分で決めたことに まちがいってものは 無いんだと思う。

たとえ それが 傍から見て ひどいものであっても
これ、自分の人生だし
それをひどいと思っている人の人生じゃないし・・ ね

 

いいんだと思う

 

だから 決めたよ

今 ここから どっちに行くかってこと

 

うん、大丈夫

そーねー かなり大変かも

でも できちゃうと思うよ 自分

 

だって 自分の人生だし

自分の道だし

自分で選んだんだから

 

きっと うまく行く

それは きっと 自分でも予想もしなかった

「うまく行く」

なんだとおもうな

 

なんとなくね

こっちのほうが 歩きやすそうに思ったんだ

意味もなく 行けそうって気になったんで

それで 選んだだけのことなんだけね

 

そうね

あの時はね 近くを歩いていた人に 興味があって
それで そっちに近いほうを選んだけど
でも やっぱり それは ちょっと違ったかも なんて・・

それでもね

そっちを歩けたのは よかったっておもうんだよね

 

生きてくって すごいよね

自分が生きてきたってこと すごいな・・って おもうよ。

 

だからね

今度は こっちにしたの

 

じゃ 行ってみるね

 

知ってるんだ
行き着く先を ね

 

だから 大丈夫なの

 

安心して 君も 選ぶといいよ。

君も ここまで ちゃんと 生きてきたんだもん

 

安心して 歩いていこう

きっと ね

 



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