ひつじ小屋だより 99

ひつじ小屋だより 99

正月二日


「寒いね」 「うん 寒いね」

考えるひつじ

まわりを見れば・・
住まいを失うこと

ちまたの話
谷戸の静けさ

メイクアップ
Aurea Ovis Consept

愛すること 48
「みんな」って?

キレイをおいしく!
レモン栗きんとん

ひつじ小屋の日々

編集後記

発行日 2009/01/05  発行人 遠藤由美子

ひつじ小屋だより 99

正月二日

  正月二日は とんでもなくきれいに晴れ上がった青い空に眩しい光のおまけつき、なんだかすごく得したような一日でした。

 なにしろ単細胞で簡単に出来ているので、空が青い、光がきらきら、いい風、優しい影、緑がきれい、花が実が・・なんていっているだけで、どんどん幸福な気分になるという「お得な性分」なのですね。でも、まぁ なんだっていいんです、それが好きだと思えればそれで幸福・・、そんなレベルです。
  

 上の二人の娘たちがまだ幼稚園に行くか行かないかのころ、ふと思い立ってそれぞれにかごを持たせ、春の良い日にお弁当を持ってピクニックもどきをしたりする休耕田に散歩に出かけたことがありました。おもちゃのかごくらいの小さなものでしたが、ふたりはそれぞれ腕に通し、たいして興味もなさそうに 仕方なく親の思いつきについていってやるか・・というような、そんな感じで歩いていきましたが、目的地でみた一面の蓮華の花に、さっきまでの面倒くさそうな顔はどこへやら、最初こそあれこれおしゃべりしていたものの、そのうち黙々と蓮華を摘んではかごに入れ、山と雑木に囲まれた暖かな光に満たされた蓮華畑の静けさの中、とうとうかご一杯に摘み集めてしまいました。

 二人は、とても満足そうでしたが、やはりちょっと疲れたのでしょう。おやつも特に持っていっていなかったので、それでは帰ろうということになり、もと来た道をおしゃべりしたり、歌ったりして歩いて戻りました。
 途中で出会った見知らぬ奥様方がおしゃべりをやめて、普段は少々敵対気味の娘達がどういうわけか手をつないで並んで歩くのを見て「かわいい!」「かわいいわねぇ。」と言う声を聞きながら、なんだかすごーく幸せな気分になっていた親の自分でした。

 コロコロと良く太った小さな上の息子と幼稚園の帰りに手をつないで歩いていたら、ふと息子が手を振り解いて走っていくので何事かと思ったら、なだらかな斜面一杯に咲いている青いオオイヌフグリを、その太って丸々したちいさな指でそうっと摘んでは片手にまとめ、もうこれ以上握れない というくらいになったとき、くるっと振り向いて「はい、ママにあげます。これすきでしょう?」といって見上げたその顔のほっぺが、ずっとしゃがんでいたために少し赤らんだのを見て、なんとも言えずかわいくて幸せに思えました。

 家の裏が一面のコスモス畑だったころ、今は二人の子供の母親で、「モキヨが教えてくれたこと」を出版した三番目の娘がまだ幼稚園に入る前、よくおねえちゃんたちのお下がりの上っ張りを着て、コスモス畑にいくつか置いた小さな木のベンチに腰を掛け、彼女の小さな悩みや苦しみを一番仲の良い猫に話して聴いてもらっていました。

 その猫は大変賢くて、多分言葉を理解していたのだと思います、娘の言うことをきちんと座っていつも、いつまでも聞いていました。コスモスは背が高く密生していたので、そばを通りかかっても声はすれども姿は見えず、聞くともなしに彼女の悩みを聞いては気の毒にもかわいくも、またおかしくも感じ、なんともいえない愛おしくおもったものでした。


  末の息子はすぐ上の息子と6つ違いで、一番上とは一回り違いましたから、どちらかというと一人っ子に近いところがありました。子供のころの10年前後の年齢差はかなりのもので、時にはかわいがられはするものの、たいがい赤ん坊扱いか邪魔者扱いという散々な位置にあり、何かにつけてストレスも多く、言葉数も少ないために言いたいこともままならなくて、よく悔しそうに泣いたり腹を立てたりしていました。


↑クリック!陶箱の素心蝋梅(そしんろうばい)
  それでも 上の子達が学校に行っている間に買い物に連れて行くと、自分のほしいお菓子を片手に「これ、姉ちゃんの。」「これはみーちゃん。こっちはちーちゃん。おにいちゃんはこれ?」と夫々の好きなお菓子(と思われるもの)をかごの中に入れたりしていました。

 今はもうひげ面の彼は、その昔は長くてゆるく巻いている髪のせいもあって女の子のようにかわいくて、良く行くお店やさんでは、皆さん、名前を呼んで買い物に行くのを待っていてくれたり行けば何か持たせてくれたり・・。戦利品?を一杯抱えて、一生懸命丘の上の我が家までの坂を小さな足で登っていく息子を見ては、この子らの親と選んでいただいた幸いを感謝したものです。

 今年戴いた年賀状にも、彼らと同じくらいの、あるいは生まれて間もないあどけない笑顔の、ちょっと見ないうちにずいぶん大きくなったお子さんたちの写真がありました。
 子供だからといって常に天使なわけはなく、時には帰るのが嫌になるようなことも幾らもありましたし、実に今現在の彼らは、先のようなどでは決してなく、それぞれ、迷いの最中に困難に直面したり、誰の言う何事かと思うような理解しがたいような言動があったり、焦燥と戸惑いのうちにかすかな光を捉えようとしていたり、背負うものが増えると知ってもなお重荷を負うを選んだり、日々のこまごました事どもを疲労とともに淡々とこなしたり・・、そして親の自分はそういう彼らを、今はもう何の力も持ち得ずに、ただ黙って見つめているだけになってしまいました。

 今朝の磨かれたように真っ青に光る空を眺めながら、なぜ子供たちの小さかったころを思い出したのかな・・と思います。正月二日の青空はどこまでも澄んで高く、この高みを目指すことが自分の気持ちのままを生きることに思え、そこがきっと自分のいた場所だったんだ・・と感じたりしていました。だけど、それは何も自分だけのことではなくて、誰でもがそこから来てそこへ帰るのではないか・・と。つまり「時の船」は、あの青を渡ってここへ一人一人をおいたのだろうとなんて、思いながら空を眺めていました。

 日々の労苦や懊悩は、まるで通奏低音のように絶えず私たちにあるけれど、それでも決してすっかり絶望しきれないのは、あの空に通じる私たちに共通する「豊かな光に包まれた記憶がある」からなのではないでしょうか。かつて自分のいたところに還ることを目指すのは、そこが命の源にして母胎のようなものだから。だから安心して日々を悩み、小さな幸いを何かにつけて喜ぶ「お得な性分」で、この一年も過ごしたく思った正月二日でした。

 

大空は

梅のにほひに かすみつつ

くもりもはてぬ 春の夜の月


新古今集  藤原定家

 

 考えるひつじ 
   まわりを見れば・・ 住まいを失うこと

 住む場所が無いということがどういうことか、きっと実際にそういう立場になってみたことの無い者には分からないことだろう。落ち着いて自分の空間に自由な体勢で基本的に誰の干渉も受けずにいられる場所、それが無いというのは、始終落ち着かず、気の休まるときが無く、暑さ寒さが実際以上に堪え、群の中の孤に浸らされてそのうち、心身の末端が麻痺してくるような、そんな感じになったりもする。 
 居場所をなくしたことがあるわけではないけれど、ちょっとソレに近い状況になったこともあり、だから住まいを追われる人たちの不安や困惑が手に取るように感じられて・・実に辛い。

 働きたくとも住所が無くては仕事も得られない。でも働けというのなら、どうすればいいのか?!そういうことを解決しないで、一時の食住を提供をしても根本では何も変わらない。たとえ正社員の条件が飲めなくて断った人たちがあったとしても、今この時、人が生きるためのものを提供し続けなければ、彼らの精神が死に、肉体が患っていくのを黙って見過ごすことになろう。それで良いわけがないではないか。

  
ちまたの話
谷戸の静けさ

今年の玄関上部ガラス面のお飾り
鈴つき色違いで3つ作りました。

 材料:
ダンボール、折り紙、千代紙、
こより、鈴

・ 目の前の小丘−日陰山のふもとは、いつも適度な静けさを保ち、たまに人や車の音はするものの、自分としてはこの静けさが気に入っています。

・ まわりの人たちも、この三が日は皆さんゆっくりで、暖かな日差しの中、葉の落ちた寂しい木にとまって毛づくろいするすずめや咲き始めた椿をもとめてくるメジロたち、目の前の畑の作物を食べに来る少し大きな鳥たち、それらを追うのか、足音を消して近づく猫たちなどなど・・、ひっそりとした楽しい情景を 毎朝 ガラス越しに眺めています。

・ 空と光と風と、山と緑と花々と、海に日の出に日の入りに・・、本来人はこうやって暮らすものなのだろうな・・と、しみじみ感じた年明けでした。


出来たら表に飾って、ドアの開け閉めのたびに
鈴が鳴るようにと思ったのですが、紙製のためこのように・・

   メイクアップ   Aurea Ovis Consept

 Aurea Ovis のコンセプトは『私が創る私のきれい』 「貴女をキレイにするのは貴女です」というこの2点に尽きます。 『私が創る 私のきれい』とは・・その人がその人であることを 喜んだり自分であることを幸せだといえるために出来ることの一つとして「自分を美しくする」ということがあるという考えから生まれ出たものです。それは人の幸いのごく一部でしかないけれど、そうあることによって得られる密かな自信や穏やかさ、暖かさや豊かさなどがあるのだと考えたのです。
  貴女は どんな人ですか? それをテーマに 貴女がご自身を創っていけるようにお手伝いするのが
Aurea Ovisの仕事です。

 誰かに任せて見えてくる自分もありましょう。思いがけない自分を見て 興奮するほど嬉しいときもありましょう。でも、それを 毎日 人に頼むというのは なかなか難しいこと。一息おいて見る自分の捕らえ方、貴女をきれいに表現するためのちょっとしたテクニック、キレイの実現に欠かせない基本的な日々のお手入れや心安らかでいるためのあれこれなど、いくつかのポイントを知って覚えることは きれいのためのお約束ポイントともいえるでしょう。そうしたことを練習して身につけていただくためのお手伝いをするのがAurea Ovisが掲げた「貴女をキレイにするのは貴女」というもう一つのコンセプトです。 

 この世に貴女が今いる。そのことを 喜びとせずに何の幸福でしょう!?
幸せでいようとしてください。そのために
 Aurea Ovisがいくらかでもお力になれるなら どうぞお役立ていただきたく 願っております。

愛すること 48
「みんな」って?

♪ 「みんなが幸せになればいい」と思います。「どんな人も」分け隔てなく幸せに暮らせたらいいな・・と思います。「世界中の人たち」が幸せに生活できるようにと願います。そういうことは、きっと 本当に 誰でもが考え思い願うことだろうと思います。

♪ さて・・、その「みんな」「どんな人も」「世界中の人たち」と言うとき、その言葉に表される人たちには、誰がいるでしょう?自分の身近な人たち、家族、友人・・、おそらく具体的に顔と名前を挙げようとすると、そんなところになるのかもしれませんね。

♪ でも、それでは「みんな」「どんな人も」「世界中の人たち」というには かなり範囲が限定されます。それでは「みんな」でも「どんな人」でも、「世界中の人たち」でもなくなってしまいます。

♪ 似たような意味合いの言葉に「我々」「私たち」がありますが、そうした言葉を使うとき、本当に「すべての人」を思えるようになったらいいなと思うのです。

キレイをおいしく!
レモン栗きんとん

材料:サツマイモ 1本、レモン 1個、栗の甘露煮 適宜

作り方:1 サツマイモは洗って時間があれば低温のオーブンでじっくり焼くか、濡れたまま濡らした新聞紙に包んで電子レンジで5分加熱して柔らかくする。

 熱いうちにの皮をむいて中身をつぶし、レモンスライス一枚を取り除けた残りを全部絞って混ぜる。スライスしたレモンは小さく切って入れる。

 味を見て、甘みが必要なら砂糖や蜂蜜を加え、良く練り混ぜる。最後に栗の甘露煮を混ぜて出来上がり。 

 これは何かのページで読んだのですが、思いがけずおいしかったです。丁寧にするなら裏ごししたほうがいいとおもいますが、ちょっとゴロゴロ感もいいかな・・と。 

 お芋の変色止めにはレモンはいいですね。さっぱりしてどんどんおなかに入っていってしまうのは・・少々気になるところですが、口当たりさっぱり、おいしいです☆

ひつじ小屋の日々

◆ 去年話題になった映画「西の魔女が死んだ」の原作者 梨木香歩さん。
  娘が貸してくれて初めて読んだ彼女の「家守綺譚」は自分の中では久々の大ヒットでした。
  人によって好みの分かれるところではありましょうが、自分的にはあの決しておどろおどろしくない当たり前に描かれた「日常に重なり触れ合うちょっとした別次元」は、一度もそんな経験がないとしても、とても理解・納得でき、憧れさえしています。

◆ ついで「蟹塚縁起」を購入。題名の印象どおりのほの暗さを感じますが、話の内容もさることながら、まるで始めに絵ありきのような、夢と現実の揺らぎを見ることのできるインパクトのある油絵が実にその話しにあっていて、妙にひきつけられる「人の業」を感じさせる絵本。お勧めです。

◇ 今、ひつじ小屋には、いつになく花の香りがこの数日漂い続けています。   一応正月ということで、葉牡丹、南天、水仙にスウィートピー、カーネーションに浅い緑の枝、そして庭の椿に春の香り、戴き物の素心蝋梅。

  切花は枯れていくのを見るようで抵抗があるものの、それでも花のある生活というのはいいなと思います。

編集後記

・ パレスチナ自治区ガザでのイスラエル軍とイスラム原理主義組織ハマスとの戦闘。フランスのサルコジ大統領はじめ、各国から停戦にむけての調停の取り組まれているというが、この国の舵取りは自分の足元の腐った床がいつ抜けるかとソレだけが心配でならないようだ。

・ 画面上に見る傷つき怯える子供たちの目が苦しい。せめて安全な疎開が出来ないものだろうか。
  心から停戦を祈る願うのみ。

Aurea Ovis

営業日時  
年間 午前10時〜午後6時

休業日
不定期(ご連絡ください。

連絡場所
240-0111神奈川県三浦郡葉山町
一色857−1 椿コーポ5号
ph.&fax. 046−876−2538

E-mail お問い合わせはこちら!
URL  http://aureaovis.com

 

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ようようへばりついてはいるものの

ひと風くれば どこへやら

跡形もなく砕け散り飛ぶことだろう

・・・

 



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