いつだったか、ある年の誕生日に、長女が 小さなミニバラの鉢植えをプレゼントしてくれたことがあった。
わざわざ 黄色を選んで、前の仕事場まで、自分で届けてくれたときは、とても うれしかったのと同時に、さて・・ どうしたものか、、と 思ったことを覚えている。
理由は簡単。自分は ものすごい 枯らし屋、つまり brown thumb の持ち主なもので・・、まぁ それを知っていながら くれたというのだから、一応は だめにしてしまっても 大丈夫かも・・ などと、引き気味に思っていたのだけれど、やはり 鉢植えの花などをくれる人は、あげた先で、花が咲き続けていることを、たぶん どこかで 淡く?期待などするのではないか と、思えば、小さな鉢植えは 少々 重くなった・・。
案の定、娘が来る と わかっているときは なるべく 彼女の目に触れないように 鉢植えを移動させるようなことになっていったのだが、、
今の 葉山に引っ越してきたときに、せっかく庭があるのだから、と 何も考えずに、ただ ざっくりと土を掘って、鉢から出したそのままをいれて、ぽんぽんと さびて弱くなった 前の住人の置き土産のシャベルで、根元周りをたたいたことだけは 覚えているが・・
そのまま、そこにバラがある ということすら忘れたまま、日々は過ぎていった。
季節はめぐり、ある朝 ふと 窓の外を見ると、ろくに手入れもしない・・というよりも うっそうと茂った ジャングルもどきの庭の片隅に、あかるく 小さなともし火のような 黄色いバラが咲いているのを見つけた。
へ〜 やっぱり、地面のほうがいいんだね、わー きれいに咲いて うれしいなぁ
・・などとうれしがるわりには、水もやらず、肥料などのことも ぜんぜん思い浮かばないまま、咲いた、枯れた、終わった・・を 繰り返して 10年が過ぎた。
そして 今年も、また 娘のくれた黄色いバラが咲き出した・・ のだが!
彼女は ミニバラをくれて、それは ずっと 土におろしても ミニバラだった。。のに、
どういうわけか、今年のそれは、ふつうの、、 ごく普通の大きさの 黄色いバラになって見事に咲いたのだ!
プレゼントとして もらった当初は、数輪の花をつけていたのだが、最終的には たったの一輪になり、その一輪が 年を経てもなお、けなげに咲き続けていた。
それが、どういうわけか 直径5センチ以上、開ききると 7センチくらいになるほどの、きれいなバラになってしまったのだ!!
しかも、、長いこと たったの一輪だったのに、なぜだか、どういうわけだか、今年は ほかにもつぼみをつけ、順に 二つずつ 多少時間をずらしながら咲き、今は 四つめのバラが そろそろ 終わるころになっている。
今朝、バラの上にかがんで 様子を見たところ、驚いたことに、これから まだ咲くだろう 小さなつぼみを また 別に二つ見ることができた。
・・ どういうことなのだろう??
まぁ べつに うれしいことだし、何も手を加えずとも ここまで咲いてくれるのは ものすごくうれしいから、わけなど どうでもいいのだけれど。。
それにしても、なんだか あまりに不思議で、 うれしいけれど とても不思議で・・
これも 植えたが最後、一度も なんの世話もしないというのに、丈高くたくましく育ち、足の踏み場に困るほどに居場所を広げたハーブたちの勢いに押されることなく、かえって 大きく、しっかりと根付いたらしい、いまは もう ミニバラではなくなった、黄色いバラを、日差しの中に見つけることが、5月の朝の 楽しみのひとつになっている。
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