きょうは『金羊日』

5月

 

1 薔薇になったミニバラの件

2 片付けによる小さな満足

 

1 薔薇になったミニバラの件

  いつだったか、ある年の誕生日に、長女が 小さなミニバラの鉢植えをプレゼントしてくれたことがあった。

 わざわざ 黄色を選んで、前の仕事場まで、自分で届けてくれたときは、とても うれしかったのと同時に、さて・・ どうしたものか、、と 思ったことを覚えている。

 理由は簡単。自分は ものすごい 枯らし屋、つまり brown thumb の持ち主なもので・・、まぁ それを知っていながら くれたというのだから、一応は だめにしてしまっても 大丈夫かも・・ などと、引き気味に思っていたのだけれど、やはり 鉢植えの花などをくれる人は、あげた先で、花が咲き続けていることを、たぶん どこかで 淡く?期待などするのではないか と、思えば、小さな鉢植えは 少々 重くなった・・。

 案の定、娘が来る と わかっているときは なるべく 彼女の目に触れないように 鉢植えを移動させるようなことになっていったのだが、、

 今の 葉山に引っ越してきたときに、せっかく庭があるのだから、と 何も考えずに、ただ ざっくりと土を掘って、鉢から出したそのままをいれて、ぽんぽんと さびて弱くなった 前の住人の置き土産のシャベルで、根元周りをたたいたことだけは 覚えているが・・

 そのまま、そこにバラがある ということすら忘れたまま、日々は過ぎていった。

 季節はめぐり、ある朝 ふと 窓の外を見ると、ろくに手入れもしない・・というよりも うっそうと茂った ジャングルもどきの庭の片隅に、あかるく 小さなともし火のような 黄色いバラが咲いているのを見つけた。

 へ〜 やっぱり、地面のほうがいいんだね、わー きれいに咲いて うれしいなぁ 

 ・・などとうれしがるわりには、水もやらず、肥料などのことも ぜんぜん思い浮かばないまま、咲いた、枯れた、終わった・・を 繰り返して 10年が過ぎた。

 そして 今年も、また 娘のくれた黄色いバラが咲き出した・・ のだが!

 彼女は ミニバラをくれて、それは ずっと 土におろしても ミニバラだった。。のに、
どういうわけか、今年のそれは、ふつうの、、 ごく普通の大きさの 黄色いバラになって見事に咲いたのだ!

 プレゼントとして もらった当初は、数輪の花をつけていたのだが、最終的には たったの一輪になり、その一輪が 年を経てもなお、けなげに咲き続けていた。
 それが、どういうわけか 直径5センチ以上、開ききると 7センチくらいになるほどの、きれいなバラになってしまったのだ!!

 しかも、、長いこと たったの一輪だったのに、なぜだか、どういうわけだか、今年は ほかにもつぼみをつけ、順に 二つずつ 多少時間をずらしながら咲き、今は 四つめのバラが そろそろ 終わるころになっている。

 今朝、バラの上にかがんで 様子を見たところ、驚いたことに、これから まだ咲くだろう 小さなつぼみを また 別に二つ見ることができた。

 ・・ どういうことなのだろう?? 
 まぁ べつに うれしいことだし、何も手を加えずとも ここまで咲いてくれるのは ものすごくうれしいから、わけなど どうでもいいのだけれど。。

 それにしても、なんだか あまりに不思議で、 うれしいけれど とても不思議で・・

 これも 植えたが最後、一度も なんの世話もしないというのに、丈高くたくましく育ち、足の踏み場に困るほどに居場所を広げたハーブたちの勢いに押されることなく、かえって 大きく、しっかりと根付いたらしい、いまは もう ミニバラではなくなった、黄色いバラを、日差しの中に見つけることが、5月の朝の 楽しみのひとつになっている。

 

 

2  片付けによる小さな満足

 ずーっと それを使っていたけれど、とくに これといって 不自由を感じなかった(と思っていたと思う・・)台所の20センチほどの隙間に置いた棚の上の部分を、先日「これは 空間の無駄だ・・」と、いきなり思ってしまった。

 もともと、そこで使っていた棚は、洗面所用として 売られていたものだったので、ただでさえ狭い洗面所を さらに狭くしているボトル物の整理のためにも、それを従来通りの使い方にすることにして、改めて 台所用に メタルの棚を買い求めた。

 いつもなら 起こしてもおこしても 起きないタコ氏。その日、午前中に 荷物が届くと、たたっと降りてきて、届いた?と うれしそう。(・・)

 任せた組み立てが出来上がって、所在を得ると、なるほど あつらえたように きちんと収まる。

 数回、物の出し入れをして、ようやく これでいいかな、となったのを見て、なるほど、物というのは 使い手の思いが 見えるものなのだな・・と 思った。

 個人的には、あまり あれこれ 表に出しておきたくないほうなのだが、たった二人で暮らしていても、物というのは いつしか 散らばりあふれるようになってくる。

 使うから ということで、買い求めておいて なかなか 使い切れていなかった、軽い割には かさばって まとまりのつかない、そして、しょっちゅう 出し入れのときに がさがさやりながら 探し当てていた乾物類などを、100均のケースに入れて、すっきりと並べおくことができた。

 これまで、そうしたものを 突っ込んでは、ばたんと扉を閉めることで、あっさり その場所の中の様子を忘れ、あけるたびに 片付けなくちゃ、やらなくちゃ と、もう 数年、思い続けていたことが、物の数分で・・ すっきりしてしまった。。

 まぁ、自分のやることなんて だいたい なんでも こんな調子なので。。 いまさら 何を言うでもないけれど、それにしても、もうちょっと さっさとしていれば・・ と、やっぱり おもってしまった。。 

 すこし 片付くと、あっちも こっちもやりたくなってくる・・、こんなちょっとのことで、かなり 気分が楽になるのなら、あそこも ここも、と つい 思ってしまうところなのだが、まぁ そんなことを実際にすれば、あっというまに 面倒なことになるのはわかっているので、そう、この程度のことが 自分にとってはよいのだろう と 満足することにした。

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