先日、たまさか譜面が読める ということで、使ってもらっているボランティアで オルガンを弾いていたとき。
ご年配の多い皆さんに声を出してもらう歌が2曲あって、集まりの最初と最後に一曲ずつということだったのだけれど、その間に 歌なしで弾く一曲も 別に選んでおいた。
時間が来て、最初の曲を弾きおわり、次の曲までには 少し時間があるから と、選んでおいた譜面を その上に広げて置いた。
・・粛々と集まりは進行し、間の曲を弾くときがきたので、静かに流して終了。
そして、最後の歌になり、上になっていた譜面を取り去り、下になっていた曲を弾きだした・・ のだが、もう お気づきの方もおいでかと思うが、そう、その時の最後の歌のつもりだった譜面は、その日 最初に弾いた歌の譜面だった。
つまり・・、丁寧に 静かにその集まりが終わり、これで〆て というその時に、その日最初に歌った歌の楽譜のままを 弾いてしまっていたのだった。
ご年配の方の 本当にありがたく良いところは、こういうときに分かる。
最初の出だしから なんだか ごく最近同じ曲を聴いたナー なんて ぼけて思っていたのだが、前奏が終わるころ、やっと 「あ!曲 間違えてるよ。」と ようやく気付いた次第。
歌いだす前だったので、すぐやめて「すみません。間違えました。失礼しました。」と いいつつ、最後の曲のページを開き、弾き始めれば、皆さん、何事もなかったように 普通に歌ってくださる。 後でも 一言の文句も おっしゃらない。
みなさん、本当に素直でいらっしゃる・・ ありがたいと思う。
後で 世話役の人たちに、ぜーんぜん気付かなくて ごめんなさい なんて 言ったら、その人たちも「平気 平気、多分だれも気にしてないよ。」「あのまま 最初の曲を弾いていたって きっと 最後まで歌っちゃってたと思うよ。」・・などなど、慰め?てもらってしまった。
しかし、問題は そんなことではなくて・・
事の次第、流れは 先に書いたようなことなのだが、その間の「自分の感じ方」が、今までの自分にはなかった感じ方で・・、それは 自分には ショックな出来事だったのだ。
大勢の前で、メインではないとは言え 楽器といえば そのオルガンだけで、場所は 広いところだし、つまり 隅々にまで 響き渡るという そういう場所で・・
皆で 集まって 心を合わせているときに、たかだか 2曲のものを 弾き間違えるなんてことをしたら、これまでの自分だったら 「間違えました、すみません。」と言いつつ、かなり 心臓がどきどきしたはずだし、たぶん 赤くなっていたと思うし、おたおたして 譜面を見つつも つっかえたりしただろうし、あとになって 謝って回るときも、かなり 申し訳ない という気持ちで 頭を下げまくっていただろうのに・・
今回、まーったく そういうことがなかった・・のだ。
つまり・・
一回も ほんのちょとも どきどきもしなければ、赤くもならないし、舞い上がって間違えるなんてこともないし、ごく普通に弾いて 普通に終わらせて、お疲れ様でしたー なんて いえてしまって・・、お そーだ 間違えてたんだった、謝っておかねば と気付いて、ようやく 謝り始めていたし、その謝っているときも、恥ずかしいとか 申し訳ないとかとは あまり おもってなくて・・、あっはっは、やっちゃったよー くらいの感じだった・・
ことが ショックだったのだ。
恥ずかしさも感じないし、赤面もしないし、あれ?と 思うだけで、心臓どきどきなんて これっぽっちもしなくて・・、 だから 「あー、ほんっとに 年取ったんだなぁ・・! 全然 平気だよ、自分・・!」 と 気付いたのだ。 うーん しっかり おばさんしてるぞー。
そして・・ 今日、そのことを 親しい人に話したところ、いいじゃないの、着実に成長してるってことよ、と 慰められて?しまった。
成長・・?「成長よ、ちゃんと おばさんになってるって 順調な発育みたいなものじゃないの。」 ・・ だそうだ。
そうか、一人前のおばさんになった ということで、・・これは おいわいすることなの・・・ かも??
では 今晩は ワインでもあけて、おめでとー なんて いってみましょうか・・。
(・・なんか ちょっと寂しいというか すこし悲しめな感じ・・が しないでもないが。)
窓の外では 向いの家の煙突から 風呂を沸かす煙が かすかな風に薄青くたなびいて、木々に囲まれた静かな小里の秋の夕暮れを ことさら 物哀しくしている。
着実に 人生の下り坂を歩き始めたんだなぁ・・と 自覚した今日だった。
ウサギアニメーション http://roko.lolipop.jp/index.htm
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