前回の「2 秋に鍛える」から 数日後の昨夕、海まで出かけてみた。勿論 歩いて。
結果は 特にどこがどうということもなく、さすがに久しぶりだったので、スムースに歩けない分、あちこち 問題の箇所とは関わりないところに負担がかかっての痛い思いはしたものの、とりあえず 一晩過ごした後の今になっても これという不都合は感じていない。 やれやれ というところ。
本来 ぐうたらで、何をするにしても 面倒くさい と思ってしまいがちな自分だから、人ごみは嫌い、人と合うのもなるべく少なく、身支度を整えて あれこれして出かけるなんて、極力少なくありたい というのが 自分だと思っていた。
が、どうも 自分は じっとしていることが 本当は 苦手らしい ということに、今回のことで気付かされた。
昨夕より少し前に 実は 一度 買い物にも行きたかったこともあり、タコ氏と近くのスーパーに出かけたことがあった。
その時は もう 本当に いい加減 じっとしていたり、家に篭っていることに 耐えられなくて、表に出たくて仕方がなかったため、買い物を口実に出かけたのだが、やはり 戻るころには くたびれてしまって、痛いんだか 疲れているんだか 良く分からない という そんな風だった。
まだまだ しばらくかかるかなぁ・・というのが その時の実感だったのに、それから 二日しかたたない昨夕、やっぱり 表に出たくて、というより、狭い空間に居続けるのにいい加減飽き飽きして、出かける と 宣言したのだった。
秋の日はつるべ落としとはよく言ったもので、まだ4時前だから と出て行ったのに、のろい歩みで、途中で買い物をしたせいもあり、目的の公園に着いたときには、もう 人もまばらで 風も冷たく、日もほとんど 淡いラベンダーグレーの雲に隠れてしまって、その輝きの名残りだけが もったりした雲の縁を彩っているだけだったのだが、それでも 久しぶりに海にこられたことで とても満足だった。
対して長い時間ではなかったものの、タコ氏が稽古している間、むしゃむしゃと 買い物した春巻きなど食べ、時々 写真を撮ったりしながら、ベンチに腰掛けているだけで、コレまでの鬱々としたものが 消えていくのを 気持ちよく感じていた。
思ったことと 思い出したことを それぞれ 一つずつ。
思ったことは、歩くことが不自由になってから、自宅周りを歩いてみれば、これは もう この周辺は なんとも 歩きにくい ということ。
小さな段差がいたるところにあり、比較的大きな段差にいたっては、なぜか 公園などにもかなりあって、また 道路の歩道の狭さや、人が歩くための道であるはずの歩道のはずなのに、ソレをよけて通らなくてはならない電柱などが 当たり前に歩道内に立っていて、これでは車椅子などは勿論、自分のように かるく足を引きずるようなものでも とても 歩きづらくて仕方がない ということが よく分かった。
このあたりに限って言えば、道路に関しては 結構 長い期間水道工事をしていたため、最近は 綺麗に舗装されて車にとっては 申し分なく出来ているのだが、何しろ 人のためには まったく 不親切で、歩道と側溝と道に面している家々の出入り口との それぞれの細かな段差に いちいち足をひねりそうだった。
これは 杖をつく人、カートにつかまって出かける人、歩き始めの まだ足の柔らない人たち、そして 車椅子の利用を余儀なくされている人たちにとっては、毎日 辛いことだろう と 実感した。
葉山だけではなく 恐らく 日本のどこの町でも きっと同じようなことが 幾らもあるだろうと思うので、是非 是非、各市町村でも 快適な歩行のための道作りを奨励、実現してもらいたいと つくづく思っている。
思い出したこと・・ まぁ これは どうでもよいのだが・・
以前、夏の夜、遅くなって 昨晩歩いた道と同じところを歩いていたとき・・
その時は 朝から天気が悪く、日が暮れるにつれて 生暖かい風が強く吹いていて、これはざーっとくるな と思って急いでいた。
そんな天気だったから 辺りの家々も雨戸を閉めきって、いつもよりも 道は暗く、ほとんどひと気がなくて、自分の足音しか聞こえないほどだった。
ふと、ずっとまっすぐに続く道の前方を見ると、なにか 青白いものが ぽつんと浮かんでいる。 それは 小さくて丸いものだったので、最初は 車のライトか とも思ったのだが、たった一つだけだったし・・、それに ふと 何かに思い当たるようにして 立ち止まれば、その青白いものは 少しずつ ゆっくりと こっちに近づいてくるとのが分かった。
なんだろう?と いうのと、ひょっとして・・というのとが同時に思ったことだった。
急いで 反対側の歩道に移動して、その青白いものを見つめながら ゆっくり前に進んでいったのだが、それは ふわふわと上下に小さくゆれながら 確かに こちらのほうへやってくるのだ。
さて、困った!どうしたものか、回りの家は どこも 雨戸を閉め切っているし、小道に逃げ込んだところで、かえって恐いことになりそうだし・・ などと 思いながら なおも じっと見つめながら 様子を伺っていた・・ そして
だんだんに近づいてくる その青白いものの様子が分かるくらいになったとき、ようやく それが うつむき加減の人の顔!だということに 気付いた。
これは! やっぱり まずい、どこかへ逃げるか、そうだ 電話して タコ氏に報せよう、と 立ち止まって 電話を探したのだが、そういうときに限って かばんの中の電話が手に触れない・・・!
心中 かなり焦って ごそごそと かばんの中をかき回すが どうしても探せない。
一方、例の青白い顔は その間もゆっくり、ふわふわと上下に動きながら 近づいてくる! わー どーしよー・・・ と 思ったその時
その顔が ふっと半分になった! と思ったら それは 大きな甲高い声で 言った。
「あたしー! あのさぁ、さっきのつづきだけどぉ・・」
いきなり脱力。
きゃぴきゃぴの会話の断片であたりを散らかしながら、彼女は ごく当たり前に(当然だが・・) 反対側の歩道を こちらになど 目もくれずに 楽しそうに過ぎていった。
・・そう、中学生の女の子が 携帯のメールの画面を見ながら ゆっくり歩いていただけだったんですねー。
しかし、あー こわかったっす・・ ほんとに。 久しぶりに あれは 恐かった。
本人は 自分が人に どれほどの緊張を強いたかなんて まーったく 分かってないですよね。 でも しかし、確かに あれは こわいですよー・・
昨夕、タコ氏と返る途中、やはり 携帯を目の前に持って画面を見ながら歩いている女の子をみて、突然 思い足した ある夏の夜の出来事ではありました。
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