ひつじ小屋だより 39

発行日 2004/01/05
発行人 遠藤由美子

も く じ

 ひつじ小屋の風景 29 (望み)

 『エレの引き出し』 ゆりの香り B

 ひつじの 
       No.1  Red−赤

 きれいをおいしく! 
      みかんとかぼちゃのピュレ

 2003年 クリスマスクイズの答え

 編集後記   おしらせ


photo by C.

ひつじ小屋の風景 29 (望み)

 新年 明けまして おめでとうございます

 前日の大晦日まで仕事して、その流れのまま いつものように目がさめて、あぁ そうだった、きょうは元旦だったんだっけ なんて思うくらい、大して感慨もなく 少々気抜けしたような明けの日だったのですが、毎年のことをふつうにこなして、さて戻ろうか というとき、ふと思いついて 海に行ってみようと思い立ちました。

 冬の午後4時過ぎは もう暮れ始めるころで、海に向かう道は 正面からの夕日で なにもかもがまぶしく、とても 細かい情景など見られなかったのですが、ほんの5分で 着いた浜辺で見たものは、西の空の厚い雲の上に ゆっくりと拍動しつつ徐々に緩やかになっていく回転で、その周りの空気を微細に揺らめかせた金色の太陽が、音もなく 滑らかなシルバーグレー光沢のある藍に溶け込もうと、光を熱く海面に注ぎつつ沈み行くところでした。 

 伊豆半島の上、少しの隙間をあけて、ぶ厚くたなびく雲の向こうに隠れた太陽は、その光だけが雲の上下に別々の物のようにあって、雲の上方、ゆるんだ淡い水色の空には 無限に広がるかなたにまで 光の微粒子を撒き散らし、天使の羽ばたくはこの空間であろうと思われるような、きりりとした透明を見るよう・・。
  また 雲の下方へは それとはまったく異なって 渋みのあるバーガンディーレッドの沸々と煮えたぎるような炎が渦巻く中、白く煙る光のすじが 紗のカーテンのように山の端に向かって広がっていました。

 わずかな時間の経過の中ですら 私達に与えられ、ゆだねられた自然は、これほどにまでドラマチックに、静かに 激しく、そして力強くも美しいありさまをしっかりと表し見せてくれました。
 私は それを黙って見続けながら 太陽にあこがれた幾多の英雄偉人達の思いが知れるようで、彼らのその後はともかく あれほどでありたいと願う小さな人間の、「偉大」にあこがれる率直にして無謀な欲求が 妙に納得されてしまいました。

 以前、長く寝ていなければならなかったころの「四角い空」には 太陽は一度も顔を見せたことがありませんでしたが、そこに見た様々な四季の光や色の変化は すべて太陽がしてくれた事だったのですね。
  今はもう あれほどのつらさはまったくないのに、たまに 窓の近くで横になると あのころのことを思い出し、空を見ながら その無尽蔵の鮮やかなパフォーマンスに改めて感嘆しつつ その慰めをたびたび受けられたことを苦しい記憶を思い出すからこそ かえって深く感謝している次第です。
 きっと お具合の気になる方たちには 分かち合える思いではないかと思います。

 人は 生きているだけで 様々な思いやりに囲まれていると思うのです。
 それは 時には言葉で表せないものであることもあると思うのです。そして そういう慰めや思いやりを受けながら、それをきちんと感じて受け止め 感謝しつつ 安心して自分で立てるまで、存分にその恩恵に浸ることができた人というのは、おそらく とても感受性が豊かであったり、情緒的にこまやかであったり、コトンというほどの微々たる変化にもすぐ気づき、状況を静かに、落ち着いて見守れるようになるような気がします。

 「忙しい」という言葉が 何かにつけて誰の口からもついて出てくるような現代。
私達は そう言い訳にすることで、ふと耳に届くひそやかな音や垣間見る幻のような現実の一瞬、わずかに記憶する思い出を呼ぶ かすかな香りや鮮明なイメージを結ぶある特定の味覚、そしてそんな憶えなどないのに かつてそうされたであろうと信じられる肌に触れるぬくもり・・、そんな当たり前に知っているはずの諸々を すっかり自分の日常から追い出してしまってはいないでしょうか・・?

 初日の出ならぬ初日の入りを見ながら、私達をすっぽり包んでいる そうした私達のための贈り物を絶えず感謝して喜び味わえるように、そして それを排除したり傷つけたり無碍にいためたりせず、そう在れと備えられたままを受け入れつつ 自分もそれに添って生きていければと、そんなことを考えてしまった年の初めでした。

 今年も どうぞ よろしく・・。

 

 
『エレの引き出し』

ゆりの香り B

 エレとおにいちゃんとひつじとはとは なかよくならんで まるいテーブルのまわりにすわって おいしいおかしとあまいおちゃをのんでいました。

 おんなのひとは とても やさしくて、ふたりは ずっとまえからしっているひとのようなきもちがして、ここまでくるまでのことを きょうそうするように おはなししました。
 おんなのひとは にこにこしながら たのしそうに ふたりのはなしをきいています。

 いいにおいのするおいしいおかしは しろくてすこしだけあまくて、くちのなかにいれると すぐにとけてしまうようでした。いくらたべても たべあきません。あまいおちゃも ふだんは そんなのあんまりすきじゃないおにいちゃんも おいしいとおもうほど ちょうどよいあたたかさで おかしとおなじようないいかおりがします。

 「おいしいなぁ。これ おみやげにもらえる?ママやパパにもたべさせたいなぁ。」
 おにいちゃんは おもいきってきいてみました。

 おんなのひとはひつじとやはとといっしょに びっくりしたかおをしましたが、すぐに にっこりするといいました。

 「そうね こんなにおいしいんだものね。でもね このおかしは このいえのおかしなの。とおくへは もっていかれないのよ。だから たくさん食べて おぼえていてね。」

つづく・・・

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ひつじの 
No.1  Red−赤

 1月は「赤」の話しをしたいと思います。

 でもカラーコーディネートの話ではありませんし、ウンチクをたれて知識を深めるためのものでもありません。

 2004年は あふれる色の中からある一色をテーマに 毎月 そのとき気づいたことをお話したいと思っています。最後まで 楽しく続けられるよう 願っていますが・・。

 さて「赤」というとあなたはどんな赤い色を思い浮かべられるのでしょうか?

 私は・・、マリリン・モンローの有名なヌード写真の中の一枚、彼女の明るい笑顔がこちらにむけられ、その健康にしてセクシーな白い体の部分をうずめている 写真の 画面いっぱい敷き詰められた 真っ赤なバラの花びら。

 「黒いカルメン」と呼ばれたオペラ歌手デニス・グレイヴスの褐色の肌をつつむローブの 緋に近い
 
  寒々しい無彩色の雪景色の中、厳しい北風に吹かれて 互いにぶつかればその冷たさに粉々になってしまいそうな 小さな木の実たちの

 もっともっと いろいろに思い浮かべるものがあるのですが、「赤」を選ぶときの自分の心境を思い返して見ますと、やはりその色の作用ともいえる"勢い"とか"躍動"などのイメージが欲しくて それを選んでいるような気がします。

 また「赤」は古語的な意味合いとしては、「明らか」からきているとかで、何事も日に照らされて明らかになる→白黒はっきりさせる→うそや間違いがないなどという連想もできて、私としては とてもすっきりする、迷いのない色という意識があり、気分にむらがあったり、にっちもさっちも行かなくなってしまったとき、どうにも鬱々して途方に暮れるときなど、振り切るように「赤」を選ぶのは、私にとっては ごく自然なことなのかもしれません。

 さて もうひとつ、思い浮かんだ「赤」があります。

 『世界中で一番美しいというそのお姫様の髪は漆黒の夜闇のよう、その肌は真っ白な雪のよう。そしてその唇は血のように真っ赤な色をしておりました。』という白雪姫の唇の「赤」

 勿論 これはイメージを喚起する表現で、実際の色として私達が見るような色ではありませんが、想像すると 私などには どうにも"可愛らしい"という様子を越えて、なまめかしさや妖艶ささえ思われてしまって、それが物腰の愛らしい、ふくよかな丸みをもつ若い娘であれば、継母である魔女らしきお后さまが、むらむらとした嫉妬の炎を燃やすなどは、 まことにごもっとも、さもありなんと一緒になって癪に触ってみたりもしてしまうのです。


  こんな風に、たかが「赤」ではありますが、それは様々に人の心に作用してしまう一種危険ともいえるくらい くっきりした影響力をもつ"呪術的の色"といえなくもないような、そんな気がしてならないのです。

 まさに魅惑の、情熱の、そして 狂乱に至ることもある"生きる命の色"なのかもしれません。



坐間藤五郎さん
木工芸  

「男と女ー切っても切れぬ仲


ひとつの木片から彫り抜かれた作品
(どこにも継ぎ目がありません)

ざまさんの工房の机の上
半円形のは 注文品の今年の干支
手前はサーフィンをするくらげの名刺たて


きれいをおいしく!


みかんとかぼちゃのピュレ

 蒸して柔らかくした1/4カットくらいのたねとワタを取ったかぼちゃを、熱いうちにボウルに入れて、ポテトマッシャーでつぶし、みかん一個の絞り汁をいれます。
  そこにお湯に浸して柔らかくしたレーズン大匙3〜4杯くらいと小さいケース入りのコーヒーミルク5〜6個をいれ、全体をよく混ぜます。

  甘味は好みでお砂糖を入れても良いし 甘いかぼちゃならお砂糖ナシで充分 いただけます。

  食物繊維、カロチンやレチノールのビタミンAをはじめ、B1 B2 C Eなども含まれるシンデレラ姫のかぼちゃをちょっとおしゃれにしてみました 

1月の J's Sweets!より
「ちょっとしたお祝いのためのお重」
左から
一の重(甘いもの) 二の重(おつまみ)
三の重(みかん寿司)

みかんとかぼちゃのピュレ
甘いもの重の中の一番左に見える黄色いスウィーツ
”レモンスウィートポテト”のアレンジです。

二つ並ぶと明るい色でよりきれいです (^^)

工房 Togo

 ざまサンの苗字の”ざ”の字は、左に口、右に人を書き、下に土という字を書いてしめます。
名前の検索で出なかったのと、作り方が分からないので、うえに書いたような字をそのまま使いました。

 ひつじ小屋から大して歩くことなく 籐五郎さんの工房Togoがあります。
 すぐ近くの日曜大工のお店に飾ってあった干支の申の置物が可愛くて たずねたところ、お店のおじさんがすぐ電話してくれて、私達も突然に伺ったのですが、暮れの忙しいところを 楽しくいろいろなお話をしてくださいました。
  まだ資料として詳しいお話や写真などが足りないのですが、近いうちにご紹介できる予定です。どうぞ楽しみにお待ちください。


2003年 12月号 
クリスマスクイズの答え

 サンタクロースのたどった順番は・・ スタート 1=A 2=F 3=D 4=B 5=G 6=E 7=C 8=H ゴール

行き忘れてしまったおうちGのなかの右から三番目の家。足跡がありません。
ウサギさん4番目のBのこまから出演していますね

解説:ある村に入ったサンタクロース、最初の家の屋根から落っこちて、しりもちを付いてしまいました。気を取り直してある寮にむかいますが、中では大変な騒ぎ。ちょっと入れそうにないので、入り口にプレゼントを置いて次へ向かいます。そのあとは大急ぎで次々とそれぞれの家にプレゼントを配りますが・・、一軒だけごめんなさい。そして最後にのおうちの小さな坊やに、大きなくまのぬいぐるみを上げて・・やれやれ やっとおうちにつきました。 ご苦労様。おやすみさい、また来年ね

正解の方には12月24日着の賞品の発送を持って 発表といたしました ♪


編集後記

◇2004年がどこの国でも平和であるために、各国の力のある者達が謙虚で賢明であるように!私達ひとりひとりが持てる能力(ちから)を必要なところにより良く役立てられるよう・・、そのために健康に留意し、よく傍楽けるように・・という祈りを 今年の年賀状にしました。

◇この国は、確かに他の国から見ればそうかもしれませんが、それでも決して平和な国とは断言はできません。夕暮れでもないのに弱いものがさらに弱いものをたたく(ブルーハーツ「トレイントレイン」)なんぞ、この社会のどんな場面ででもお目にかかる現実です。

◇その現実を
きちんとみつめれば、いま自分が何をなすべきかが、老若男女にかかわりなく誰にだってわかってくることなのでは・・?

Aurea Ovis 

1月のお休みは毎週曜日
を予定しています。

いくつか日程未定のはずせない用事がありますが、
そのときは振替で木曜も営業する時もあります。
とりあえずメールやお電話でご確認ください。 

@・ェ・@  @・ェ・@  @・ェ・@  

営業時間 
   平     日  午前10時〜午後7時            日曜祝祭日   午前10時〜午後6時 
連絡先 
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